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今こそ聞きたいチャップリンの心の叫び [映画]

 今日は出勤日。2時間目は先週の大寒波の日に休校で1日ずれた3年生の考査があり、その試験監督。午前中は提出されたプリントの評価をつけたりし、午後からは考査の採点にとりかかる。
 6時間目は2年生の世界史。試験範囲には先週に届いたので、今日は「映像の世紀」のヒトラーの演説と「チャップリンの独裁者」のヒンケルの演説と地球儀のダンス、そして最後のチャップリンの心の叫びともいえる床屋の演説の場面を見せる。
 映画の構成から言うと、床屋の演説は決してうまい終わり方やないかもしれんけれど、「独裁者のための機械になるな!」というあの演説抜きでは「独裁者」は成り立たん。永遠不変の意味を持つ名演説やと思う。ウクライナ侵攻をやめられんプーチン露大統領や、バイデン米大統領のお墨付きをもらい嬉々として軍拡に走る我が国の総理に、今こそ聞かせたい。
 生徒にはわかりやすいように山寺宏一さんの吹き替えで聞かせているんやけれど、ほんまはチャップリンの肉声で聞かせたい。ただ最近の若者は字幕を追うのが煩わしいと聞くし、お山の学校の生徒たちには特にそういうことが苦手な発達障碍の生徒さんもいてるので、止むを得ない。そやけど、山寺さんもチャップリンに劣らず心のこもった演説を聞かせてくれる。もしかしたら演技やなく地声で台本を読んでいるんやないかと思うくらい。
 そして、その演説を聞くたびに、私の胸の奥から何やらこみあげてきて止まらんようになってしまう。特にここ近年のしんぞう総理の支配下で忖度やのなんやのがはびこり、権力の前に公文書改竄などをするのが当然という役人が横行し、ついにはご本尊がカルト宗教の力を借りてまでも権力維持をし、ついには凶弾に倒れるなんていう現状を見、異世界転移とチート能力に逃避する若者たちが一定数いてる現状を考えたら、なおのこと床屋の演説は私の胸を締めつけるんである。泣きそうになるんである。生徒には見えないように背を向け、ひそかに眼がしらにたまる涙をぬぐい、こみあげる嗚咽を必死で抑えているんである。
 どこか地上波のプライムタイムで「独裁者」をノーカットで放送しようというような放送局はないのかな。私は中学生のころに愛川欽也さんの吹き替えで初めて見て以来、放送があるたびに吹き替えやろうと字幕スーパーやろうと何度も見返し、廉価版のDVDも買い、そしてデジタルリマスター版のブルーレイも買い、生徒に見せ、若いうちに意味はわからんでええから一度でもあの演説を聞かせたいと思うて教材として使用してきた。
 今、NHKEテレの「100分de名著」では非暴力で独裁政権を倒した人々について解説しているけれど、チャップリンはヒトラーという独裁者に対し、「笑い」という手段を用いて抵抗した。戦いの愚かさを笑い飛ばした。そしてラストシーンでは心から主張した。「名著」やないけれど、しかるべき方が「100分de名著」でとりあげてくれんかなと思う。一番ええのは亡くなった淀川長治さんやないかと思うけれど、今やったらコメディアンとしてチャップリンの自宅まで押し掛けた萩本欽一さんが適任かもしれん。
 放課後は採点の続き。進路指導部の打ち合わせが間に入ったので、すべて採点できず。明日も別のクラスに「独裁者」を見せる予定。その後はずっと空き時間なんで、ひたすら評価をつけることにしよう。
 定時に退出し、夕食後、寝床で休むとたちまち寝落ち。けっこう冷えて体力を消耗したみたいです。

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