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靴に棲む老婆 [読書全般]

 愛すれどTigers「村上がプロ入り初勝利を無四球完封で飾る」を更新しました。

 今日は出勤日。どうしても毎週休みとの間が空くので、特に月曜日はペースをつかもうとするうちに一日が終わるという塩梅。ただ板書して説明させるというだけではもたないので毎回プリントを工夫していろいろと「考えて答える」という課題を出している。生徒たちも今のところそれによく応えてくれるので、教材作成にも力が入ろうというものです。
 定時に退出。帰宅後は読書。今日は途中で寝落ちすることもなく読み進む。
 エラリイ・クイーン/越前敏弥・訳「靴に棲む老婆」(ハヤカワミステリ文庫)読了。本作は小学生時代にあかね書房版の「エジプト十字架の秘密」に併録されていた「十四のピストルのなぞ」で読んで以来、約50年ぶりの再読です。けっこう覚えているなあ。読み進むうちに「そうそう」と記憶がよみがえる。とはいえ細部はそれほど覚えておらず、初読のように楽しめた。「ポッツ靴」の女主人には父親違いの子どもがそれぞれ3人ずついて、上の3人は奇人揃い。下の3人は常識人で、会社の経営は下の双子の息子が切り盛りしている。その双子の一人に対し、長男が拳銃での決闘を申し込む。クイーンたちはこの茶番で死人が出ないようにあらかじめ拳銃の弾を空砲に入れ替えておいたが、決闘で放たれたのは実弾で、弟は即死。さらに双子の弟も決闘を申しこまれ、その前夜に寝ているところを射殺されてしまう。病死した女主人の遺書につけられていたのは、自分が犯人だという告白。しかしクイーンはその推理力で真犯人のトリックを暴くが……という話。奇人変人たちと、それゆえに溺愛する母親。大企業である靴の会社の後継者を巡る身内での争い、暴かれるトリックや、二転三転する真相。そして最後にはパズルのピースがきっちりと収まる見事なレトリック。国名シリーズやライツヴィルものほど人気はないけれど、マザーグースの見立て殺人なども織り込むなどサービス満点の秀作で、児童向けに翻訳されていたのも納得がいく。長らく絶版やったけれど、作者の隠したレトリックをちゃんとした形で訳し直した新訳で読めたのもありがたい。どんでん返しはミステリにつきものやけれど、本書は二重三重に罠が仕掛けられていてどんでん返しなどという言葉で表現するにはもったいないくらい。小学生の私をエラリイ・クイーンのとりこにしたのもこうして読み直すとよくわかる。趣向はクリスティと似ているけれど、その違いがどこにあるか、ぜひご一読を。

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