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サン=フォリアン教会の首吊り男 [読書全般]

 今日は定休日の振り替えで休み。そやけど体はもう水曜日出勤のリズムになっていて、通常の起床時間に目覚める。そのまま起きて録画した番組を見たりしてから朝食をとる。食後もしばらくテレビを見ていたけれど、さすがに眠くなり、昼食前に寝直す。
 少し遅めの昼食を取り、しばらく読書など。妻の日帰り帰省を見送り、また少し録画した番組を見たり、読書をしたり。
 夜、妻が帰宅して夕食を取ると、寝床で少しうとうと。明日は行事担当のため出勤。週の真ん中に定休日がはさまると体がだいぶ楽やねえ。妻が録画して見ていた「アサイチ」で新型コロナウィルス感染症の後遺症の特集を私もいっしょに見ていたけれど、私の蓄膿などもやっぱり後遺症やったんかなあと思う。倦怠感もまだ残っているし、集中力も落ちてきているけれど、これは年齢のせいか後遺症なんか区別がつかんなあ。
 ジョルジュ・シムノン/伊禮規与美・訳「サン=フォリアン教会の首吊り男」(ハヤカワミステリ文庫)読了。早川書房はどうやら本腰を入れてメグレ警視シリーズの新訳を発刊することにしたようで、これが2冊目。ただし、本作はメグレ警視初期の作品で、ミステリとしてはかなり不可思議な構成になっている。なにしろメグレはたまたまベルギーで見かけた男のトランクを自分のものとすり替えて、そこから事件が始まるというんやから、それはメグレが犯罪を犯しているということでしょうとつっこみたくなる。しかも、その男はトランクの中身が別物とわかるとピストル自殺をしてしまうのですね。で、メグレが男のものやったトランクを開けたら、古着が入っているだけ。ただし、自殺した男のサイズとは違う。遺体安置所に実業家という人物が現れ、この実業家はこの後常にメグレの先回りをして何かを隠す。パリにもどったメグレは自殺した男の友人たちと会い、いろいろと捜査をする。外国で起こった自殺事件をフランスの警視が勝手に捜査するというのもおかしな展開ではある。そして、最後はメグレの前で友人たちによって男がなんで自殺したかの真相が語られる。芸術などの熱気を帯びた若者たちが、10年後にどうなったかという人生のやるせなさみたいなものを描いた物語をミステリ仕立てにしたという感じで、まだシムノンが本格的にミステリを書くつもりやなかったんやないかと思われる。それくらいミステリとしては不思議な構成の作品。メグレが何のためにトランクの入れ替えなんてことをしたのか、そこが全く書かれてへん上に、犯罪性の薄いように見える事件になんで首を突っ込み、事件に関わっていったかも書かれてへん。メグレがトランクのすり替えなんて気まぐれをおこさなんだら、この事件はまた違う展開を見せていったと思われる。明らかにミステリとしては破綻しているし、警察官としてのメグレの行動もまともとはいえん。ただ、本作がきっかけでメグレ警視のシリーズが書かれるようになったということでは記念碑的な作品と言えるかもしれんね。なんとも不思議な作品で、その不思議な雰囲気を味わってみたいという方以外にはあまりお薦めでけんなあ。

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