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豊田有恒の死 [追悼]

 今日も出勤日。試験監督や立ち番の当番時以外はひたすら採点に没頭。なんとか残業1時間で本日の目標の分を完了させたので、これで明日は安心して休める。ああ、しんどかった。根を詰めての作業というのを毎日続けてたら、他のことをして逃避したくなるなあ。もちろん逃避できる環境にはないので、腹をくくって集中し続けるしかない。
 帰宅後、すぐに夕食。食後は社説のダウンロードや妻とのおしゃべりなど。
 SF作家の豊田有恒さんの訃報 に接する。享年85。死因は食道癌。
 第1世代のSF作家の方たちが少しずつ鬼籍に入っていく中、まだまだお元気で最近まで過去の記憶などを残しておこうと執筆活動を続けてはったけれど、ついに亡くならはった。幸いなことにテレビアニメ草創期のことや、宇宙戦艦ヤマトとのかかわりについてなど、ちゃんと書き残してくれたはった。年齢的にも、そして周りの第1世代の方たちの訃報が続いていたので、今自分がすべきことはこれと決めて執筆してはったんやろうなあ。
 私が豊田さんの作品を初めて読んだのは、おそらく学研の「×年の学習」の「読み物特集号」やったんやないかと思う。当時の学習雑誌には、第一線のSF作家の方たちの作品がよく掲載されていた。私と同世代のSF関係者が多いのは、そういった活動が実を結んだということもあるんやないかと思う。
 ハヤカワ文庫、角川文庫などで多数その作品が出ていたのは私の学生時代。タイムトラベルものに秀作が多く、「モンゴルの残光」や「タイムスリップ大戦争」などが私のお気に入りで何度も読み返した。角川文庫のブックカバーは途中から和田誠さんが担当するようになった。そのカバー目当てで買うたものもあったなあ。
 また、当時はほとんど見向きもされてなんだ韓国の状況にも詳しく、「韓国の挑戦」はおそらくその当時の数少ない韓国本やったんやないか。韓国に関する本はお年を召してからも書き続けてはったけれど、編集部の方針からか、数多い「嫌韓本」と同じようなタイトルで出されていたので、長年韓国について発信してきた功労者という側面が伝わりにくかったんやないか。
 幼い頃に見ていた「テレビまんが」との関わりも長く、私がSFファンダムに足をつっこむ下地を作ってくれはった一人としていくら感謝しても感謝し切れん。直接お会いしたことはほとんどなかったけれど、現在に至る日本SFを開拓してきた功労者のお一人であったことは、私がこんなところに書くまでもない。あちらの世界で星さんや小松さんと再会してはることやろう。
 謹んで哀悼の意を表します。

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