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ドロシイ殺し [読書全般]

 明日からしばらく雨天が続くという予報もあり、今日からお盆に入ったということもあって、朝食後しばらくして墓参に出る。大阪は緊急事態宣言が月末まで出ているし、京都は蔓延防止重点策下に置かれている。そういう意味ではあまり行きたくはなかったけれど、なに、マスクを外し酒を飲み高歌放吟するわけでなし。墓参くらいは許していただこう。
 例年と違い薄曇りのため、それほど汗をかくこともないかと思うていたけれど、東山の中腹まで登ると、さすがにどっと汗が噴き出、着ていったポロシャツはびしょびしょ。墓の掃除を少しばかりしてから、手を合わせて下山。帰路、ポロシャツを着替え、昼食を取り、百貨店で買い物をしてから帰宅。ペットボトルのお茶を買い足すくらいがぶ飲みしていた。帰宅してシャワーを浴び、着替え、午睡。夕刻起きてきてスマホをいじったり読書したり。夕食後も読書。
 明後日は人間ドックなんで、明日はゆっくり休んで体調を整えておきたい。
 小林泰三「ドロシイ殺し」(創元推理文庫)読了。こうやって文庫化された新刊も贈っていただいていると、まだ小林さんは御存命かと錯覚してしまう。でも、著者略歴でも解説でも「2020年没」と書いてあるし、はさみこんである短冊には「著者謹呈」やなく「乞御高評 東京創元社」とある。じわじわとダメージが効いてくるなあ。
 さて、「不思議の国のアリス」、「くるみ割り人形」ときて、シリーズ3作目は「オズの魔法使い」での殺人。むろん、探偵役はメルヘン世界では蜥蜴のビル。アーバタールである現代日本では井森。実は「オズ」シリーズはかなりたくさん続いていて、以前は全巻ハヤカワ文庫NVで読めたんやけれど、今は絶版。むろん小林さんはすべてを読みこみ、シリーズに登場する様々なキャラクターを自在に操って本格ミステリと不条理世界のバランスをみごとに取っている。実は原作には大きな矛盾点があるんやけれど、トリックにその矛盾点をうまく使うていて、そこらあたりを見逃さんところはさすが小林さんやなあと感心した次第。小林さんが亡くなり、シリーズは次の「ティンカー・ベル殺し」で終わってしまうことになるわけやけれど、こういう複雑な趣向を何冊も続けられるというところに小林さんの凄さがある。何遍も書くけど、その早過ぎる死は惜しいという言葉だけでは言い尽くせんものがある。未読の方は「アリス殺し」から順番に読むのを薦めます。

 今月は大阪が緊急事態宣言下、京都が蔓延防止重点措置下にあるため、またも「たちよみの会」例会はお休みします。いつになったら再開できるのやら。来月こそ! でも全国民にワクチンを接種する目標が来月末ですからね。難しいやろうなあ。

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すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった [読書全般]

 朝からテレビを友とする。アニメだけやなく、夏の甲子園、高等学校野球選手権大会の開会式も録画して、入場行進や選手宣誓のところを中心に見たりする。暦の上では秋やけれど、やっと「夏が来た」という気分になるなあ。風物詩というのは大切なのですよ。
 休みを利用してためていた録画番組をまとめてみたりしてから昼食。食後は読書。夕食後も読書。なんか、ほんまの自分にかえったみたいな気がする。熱低の影響か、風が通って過ごしよい。明日からはまた暑くなるらしい。
 太田省一「すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった」(ちくま新書)読了。著者は東大の大学院で学んだ人らしいけれど、出身地が略歴に書いてないので、困る。というのも、笑芸関係の著作は、上方出身かそうでないかで切り取り方が変わるからね。なんとなく関東の方かなという気もしないけれど、「ヤングOH!OH!」や「ヤングタウン」について踏み込んだ描写もあるので、ちょっとわからん。ただ、日本が「笑う社会」になったのは1980年代のマンザイブーム以降であるという書きようをしているので、近畿圏の人ではないのかなとも思う。80年代以降の「笑い」の変遷を、タモリ、ビートたけし、明石家さんま、ダウンタウン、M-1グランプリを軸によくまとめてある。ただし、基本はテレビのバラエティが中心で、枚数からいうてもここまでが限度かな、という感じ。笑いをボケとツッコミの観点からしか見られないあたり、どうしても分析が一面的になりやすいきらいはある。テレビの「お笑い」とは関係ないかもしれんけれど、立川談志や桂枝雀の「笑い」に関する理論を取り入れたりはでけなんだものか。2010年代になって「柔らかいツッコミ」などが出るようになったと著者は書くけれど、大阪の漫才ではダイラケが「つっこまずに身なりを一度正してから舞台袖に帰ろうとする」というツッコミ方をしていたり、Wヤングが直接つっこまずに客席に向かい「ちょっと聞いたあ?」と客にツッコミ役を振るなど、単純なボケツッコミなどでは言い表せんテクニックを駆使していたわけで、それを「時代の変化」のせいにするのは、私には違和感しかなかった。様々なテレビ番組を網羅し、資料もしっかりと読みこみ、「笑い」論としては見るべきところも多いだけに、もう少し長いスパンで見た、テレビ以外の「笑い」もふくめたものにできなかったかなあと、残念に思うのです。

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夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~ [映画]

 台風の接近で、昨夜から午前中はベランダは強風。寝室の窓を少し開けておくと、心地よい風が吹きこみ、昨夜とはうって変わって快眠。
 朝は少しだけ昨日録画したアニメを見、そのあと録画しておいてあったアニメ「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」を見る。テレビ版を放送しているテレ東系でも放送してへんのに、BS12が放送したのですね。

 人には見えないものの見える青年夏目が、やはりそうであった祖母の遺品として譲り受けた「友人帳」には祖母が勝負してまかしたもののけの名前が記されており、その「友人帳」を介して出会うもののけたちとの交流を描く物語として出発した本作も、劇場版が公開される頃には、もののけがらみで知り合い、友人となっていった級友や祓い師たちとの交流も描かれるようになっている。この映画はそれを踏まえていないと、単品で見たんでは何のことやらわからんわな。
 夏目の用心棒を自任するニャンコ先生が、謎の木の実を食べて三分割してしまう。ニャンコ先生を救うべく動く夏目の前にあらわれた親子との交流がこの映画の中心。母親役が「カリオストロの城」で公女クラリスを演じた島本須美さんであるところに感慨深いものがあったりしたけれど、それはともかく、人ともののけの関わり方を、時には恐ろしく、そして時には優しく描くのがこの作品の特徴なんやけれど、この映画ではその塩梅がちょうどよくなっていて、何気なく描かれたシーンがちゃんと伏線となって最後には生きてくるというあたり、非常に練りこまれた構成で、見終わったあと、優しい気持ちに包まれた。
 こういう心の栄養みたいなものもとってやらんと、気持ちがささくれだってしまう。テレビ版をご覧でない方はそちらも合わせてお薦めいたします。
 午後は読書と午睡。夕食後はしばらくスマホで遊び、読書。予定では定年を過ぎたら楽隠居をしてこういう毎日を送りたかったんですけどね。まず無理やろうなあ。

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あなたの心です [映画]

 昨夜は蒸し暑く寝苦しく、熟睡はおろか、何度も目覚めては二度寝三度寝を繰り返し、通常と同じ時間に起きる。妻も夜は寝られず。台風が近づいている影響なんやろうな。とにかく蒸す。
 結局いつもの日曜日と同じように、午前中はテレビ、昼食後は午睡というパターン。
 読書も進まず、夕食後はスマホをいじって過ごす。
 昼食前、3台目のデッキで外付けHD以外のDVDやBDを見られるかどうか確認してなんだので、「ルパン三世カリオストロの城」のBDが手近にあったため、トレイに入れる。
 最初のカジノから現金を奪うシーンからオープニングの「炎のたからもの」まで見て切るつもりでしたのよ。でも、ついつい続きを見てしまい、あとはもう最後まで切ることが出けなんだ。何遍見たかわからんのですよ。テレビで放送されたノーカット版を編集したDVDもあるし。それやのにぐいぐいとひきこまれていく。最後の銭形警部の「あなたの心です」という名セリフなんか、銭形警部が口を開く前からなんかもう胸がいっぱいになってしもうていたなあ。封切りの日に見に行った時の私はまだ高校生。18歳の12月でした。あれから40年。私にとっては宮崎駿の最高傑作はテレビでは「未来少年コナン」、映画では「カリオストロの城」。「ナウシカ」よりも上です。
 多感な時期に見て、後の自分に大きな影響を与えたものは、いつまでも自分にとっての最高傑作であると再確認した次第。

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サラリーマン球団社長 [読書全般]

 朝からアニメを見たりして過ごし、しばらく読書。昼食後、妻といっしょにテレビを動かしたりしながら一度外した3台目のHDDレコーダを接続し直す。外付けハードが見られるのを確認する。これでためていた映画などを見られる……のか?
 少し午睡し、アラームで4時30分ごろ起き、外出。今日は鼻ポンプの内科。ワクチンの1回目を打ったことや副反応の状況などを話す。薬は変わらず。
 帰宅してしばらく読書。それから五輪大会の野球決勝試合を見る。英語のテロップでは「ゴールドメダルマッチ」と書いてあった。そうか、五輪の決勝のことをそう呼ぶのですね。試合は僅差を守り抜いて日本代表が米国代表を下す。よかったですね。その中で、タイガースの岩崎投手が中継ぎで好投し、相手に向きかけた流れを断ち切ったのが何より嬉しい。梅野捕手も青柳投手も決勝では出番なし。とはいえ、この喜びを今度はタイガースで再現していたたけるんやないかと期待してますねん。あ、他のチームからも選手は出てますな。それがどうしたと、またもやわがままな虎党が寝言を言うてます。
 清武英利「サラリーマン球団社長」(文藝春秋)読了。プロ野球の「フロント」というのは、たいてい親会社からの出向。オーナーに逆らわず、現場との間を取り持つような社員が多い中で、タイガースの野崎勝義は阪神航空の社員として磨いてきた方法論を取り入れながらチームの改革をしながら、球界のドンであったジャイアンツのナベツネオーナーと対峙していく。カープに出向になった鈴木清明は、独立採算のため補強費に金をかけられない球団で、後に優勝監督となる緒方をFAからひきとめ、メジャーリーグで実績を残した黒田を呼び戻し、粘り強くチームを強化していく。著者はジャイアンツの球団代表で、ナベツネとの確執で球団を去った経験を持つもと新聞記者。それだけに球界の内情にはくわしく、生々しいエピソードが次から次へと描きだされていく。
 現在サンスポ電子版では本書でも「越後屋」の名で登場する記者が星野監督誕生の裏話を連載しているが、そこでは一スポーツ紙の記者が久万オーナーの使者として星野氏と交渉する様子を自ら書いている。そして、本書では野崎がスパーキー・アンダーソン監督招聘や仰木監督招聘に苦心している陰で、久万オーナーが星野招聘に動いているという描写がある。両方読みあわせると、トラ番記者の存在がフロントよりも強かったりする異常な事態が見えてくる。
 野崎は新しいシステムを導入したのに、スカウトたちにも岡田監督にも活用してもらえず、システムのオペレーターである吉村をファイターズに引き抜かれてしまうなど、改革をなし得ぬまま球団を去る。逆に鈴木はカープの三連覇を緒方監督とともに達成することになる。
 いわゆる暴露本ではなく、プロ野球の球団経営の難しさというものを、タイガースとカープを題材に描いたノンフィクション。ところどころにジャイアンツの球団代表である「私」が登場してしまうのはいたしかたない。自分も経験した素人による球団経営の難しさを、一つの物語として描いた、読み応えのある一冊。プロ野球ファンなら一度は読んでおいてもらいたい。

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アニメと声優のメディア史 [読書全般]

 今日からは「夏季特別休暇」いわゆる「盆休み」です。朝からたっぷりアニメを見る。ほんまは3台目に接続していた外付けHDにたまっている映画なども見たいんやけれど、まだセッティングできる状態やないので、4台目のHDDレコーダに昨夜新たに録画したものを見る。その後はしばらく読書。昼食後、むやみに眠く午睡。
 火災報知機の音で叩き起こされるが、結局火災らしきものはなし。管理人からの「ただいまのは誤報でした」というアナウンスもなし。
 二度寝はせず、読書。妻が買い物に行っている間も読書。しかし眠い。ちゃんと睡眠は取っているはずなんやけれど。体温を計ってみたら、36.8度まで上がっている。ワクチン接種から10日ほどたつけれど、歳が歳だけに、副反応もゆっくりと出ているのかな。2度目のワクチン接種の後の副反応が心配になってきた。
 石田美紀「アニメと声優のメディア史 なぜ女性が少年を演じるのか」(青弓社)読了。ディズニー映画などは子どもの役は子役が演じる。日本のアニメは子どもの役は女性の声優が演じる。なぜそのような違いがでてきたのか。著者は新潟大教授でBLやアニメなどについての著作のある人。米国のフルアニメーションはプレスコで、録音されたセリフに合わせて口パクも作画する。日本ではアフレコでリミテッドアニメ、録音と作画を並行して行ったりしている。そういった技術上の問題だけでなく、ラジオなどの連続もので放送が長期化して、子役が変声期にあたってしまうといった事情などを、戦後すぐのラジオで少年役を演じた木下喜久子さんへのインタビューで明らかにする。さらにはテレビアニメの開始から、声優ブームを経て、声優アイドルの登場に至る歴史を記述した上で、アニメファンの心理などを分析し、アニメと声優とアニメファンの関係を考察している。私のようなただ見ているだけのアニメファンにはわからん諸事情は実に興味深かった。特にラジオドラマからテレビアニメ初期の事情がくわしく記されているものはおそらく数少ないやろうと思うので、木下さんの証言も含めて貴重な資料になっていると思う。
 大学の教授がちゃんとした研究書としてこういう著作を出す時代になったんやなあと、感慨深いものがある。こういう硬い本だけに、どなたにもお薦めできるわけではないけれど、興味のある方にはお薦めしたい。

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論説委員の建前 [新聞]

 今日は年次有給休暇をとって1日お休み。午前中は録画した深夜アニメを見たりして、午後は午睡。夕刻起きてきて読書。五輪大会もプロ野球のエキジビションマッチもない。高校野球はまだ始らない。シーズン真っただ中のこの時期に、一切野球の試合がない。寂しいものですね。
 妻は買物。出先から質問の電話。3台目のHDDレコーダを、外付けHD視聴専用としてセットすることになったんやけれど、そのためには今のテレビ台では置き場所がない。踏み台をテレビの下に置いてそこに設置してはどうかということになったので、コーナンまで探しに行ってくれているのです。妻が帰宅するまで読書。
 各新聞の社説では、新型コロナウィルス感染者を自宅療養させるという政府案に対して反対意見が続々と。「国民の安全を最優先に」とガースー総理が五輪大会開催時に言うたのに、あれは嘘かと各紙の論説委員が抗議しているけれど、あんなもん最初から口だけやと素人の私にもわかるのに、プロのジャーナリストがあれを真に受けていたとはとても信じられん。ほんまは「どうせ最初から五輪開催が最優先事項やったんでしょ」と書きたいところを何に遠慮をしてか「国民の命を優先させると言うたやないか」と書いているんやろうね。論説委員がこの程度なんやから、そら新聞社もなめられるわなあ。
 ゼロサム先生が市長の時代に「改革」という名のコストカットをした時に医療を大きく削減した。その結果、大阪は自宅療養の間に死亡する患者が出ている。その先例があるから、大阪人はガースー内閣が今さら何をしようと驚くことはないと思うけどね。

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私説大阪テレビコメディ史 [読書全般]

 昨日とはうって変わって猛暑日。お山の学校の職員室はエアコンが効いて快適に仕事ができたけれど、外に出ると熱気にあてられる。今日もいくつか事務作業をこなし、昼食後に退出。
 暑っ!
 たちまち噴き出る汗。額の汗が頬を伝ってマスクを濡らす。
 帰宅してマスクを洗剤につけておく間、ベランダで一服。ベランダの床に次々と汗が滴り落ち、雨で地面が濡れたよう。マスクを手洗いしたあと、寝床にダウン。しばらく休んでから、お茶をがぶ飲み。帰路、駅から自宅に行く間に熱中症になりかけていたのかもしれん。妻に話しかけられても返事をするのも億劫になるくらいばてていた。
 休養を取り、水分補給をしたら、幾分ましになってきた。夕刻まで読書。
 夜は五輪大会の野球の準決勝を見る。対韓国戦で、白熱したシーソーゲーム。タイガースの選手は岩崎投手がなんとか同点にとどめる好投を見せたのみ。できたら韓国リードの展開になってもとタイガースの呉昇桓投手が登板してほしかったけれど、8回裏に日本代表が満塁で勝ち越しタイムリー。呉昇桓の出番なし。これで日本代表は決勝進出。よかったんじゃないでしょうか。
 澤田隆治「私説大阪テレビコメディ史」(筑摩書房)読了。先般亡くなった澤田さんは自分が関わってきた笑芸に関する著書を多く出しているけれど、本書は5年前に刊行されたもの。花登筺(はなとこばこ)という怪物的な笑芸作家、脚本家、プロデューサーと芦屋雁之助という求道的な喜劇役者の業績を軸に、1950年代から90年代の大阪テレビコメディ史をたどっていく。花登筺は著者のライバル的な存在で、著者が「スチャラカ社員」や「てなもんや三度笠」などをつくれば、花登は「やりくりアパート」「番頭さんと丁稚どん」でヒットを飛ばす。著者は自分の仕事で手いっぱいで、ライバルの仕事はなかなか見られない。花登は記憶に頼って書いた「私の裏切り裏切られ史」という自伝を週刊誌に連載中に亡くなってしまう。あまりも主観的な本なので、花登の記述が真実であることになってしまうことを著者は恐れている。そこで手に入る限りの資料にあたり、自らの記録、記憶もたどりながら「私説コメディアン史」を補完するような形の本書を仕上げたのですね。私は花登さんの本も持っていて読んだし(現在では古書店でも入手は難しいそうです)、澤田さんや香川登志緒さん、戸田学さんの著作をはじめとして演芸史をこれまで読み散らしてきたけれど、確かに花登筺と芦屋雁之助については詳細な記述はそれほど多くない。そういう意味でも本書は貴重な資料やし、読み物としても(上方笑芸史に感心のある人だけですが)これまでの類書になかった裏話が数多く書き遺されていて、私には非常に面白かった。巻末の著者と大村崑さん、芦屋小雁さんの鼎談も今となっては貴重なもの。
 巻末付録の雁之助さんの年譜も含め、資料的価値が高く、極力正確を期した記述は、著者の責任感からくるものやなかったかと思うのです。

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痴女の誕生 [読書全般]

 朝から雨。久々の出勤というのに、そんな時に限って降るんやもんなあ。自宅から出た時は傘をさす必要もないくらいやったけれど、お山の学校の最寄りのバス停に着いたころには本降り。ただ、割と早くあがったので、帰宅する時は蒸し暑いくらい。
 事務作業をあれこれした他、インターンシップのもう一人の担当者が職場復帰してきたので、夏休み明けの授業について打ち合わせをしたりする。午後は休みを取ったので、昼食後に退出。
 帰宅後、しばらく疲れて寝床にどぶさっていたけれど、少し仮眠しただけで起きて読書。夕食後も読み続ける。明日も出勤の予定やけれど、かなり暑くなりそうなんで今のうちからめげております。
 安田理央「痴女の誕生 アダルトメディアは女性をどう描いてきたのか」(鉄人文庫)読了。1950年から現在まで、ピンク映画、ロマンポルノ、アダルトビデオなどで女性はどのように映し出されてきたか、その変遷をたどる。ストーリーのあるものから始まり、「本番」を売りにするもの、「人妻」から「女子校生」、「熟女」から「痴女」、そして「男の娘」と時代によって売れ筋が変わっていく様子をていねいにたどる。映像だけでなく、「ビニ本」から「写真雑誌」、そしてインターネットと様々な媒体の変遷も並行して記述している。こういうテーマはなかなか扱う人がいないだけに、非常に貴重な資料となっている。ポルノ映画時代についての記述があっさりしているのは、映画については取りあげる人も多くいるからなのかもしれんな。本書はアダルトビデオの変遷が中心。それでも時代によってこれだけ購買層の好みに変化があるとはね。マニアックなものが売れることによって一般化されたり様々なジャンルのひとつになっていったりする過程を、SFと重ね合わせているのが面白かった。SFも浸透と拡散の結果、SF的なものもわざわざSFと銘打つ必要がなくなっていき、逆にSFとつけることで売れなくなったりしたという歴史がアダルトビデオにおける「SM」の扱いと似ているのだそうです。内容はSMなのに、パッケージに「SM」と入れると売れなかったりするようになったんやて。内容的に万人にお薦めする本やないかもしれんけれど、あまり表だってとりあげられないジャンルであっても、ちゃんとその時代を映し出している。非常に興味深い一冊でした。

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「自由」の危機 [読書全般]

 本日は休暇を取り、一日自宅から出ず。昨年は全国一斉休校が2ヶ月続いたので、夏季休業は盆休みのみ。今年は五輪大会の影響もあって祝日がまとまっていたりして、休みも多いし、保健主事やないのでコロナ関係で出勤ということもなし。なるべく休むようにする予定。
 朝からアニメを見て、朝食後に、3台目のデッキに外付けHDを接続して立ち上げてみる。無事、見ることができました。これで、未視聴の映画などを見ることができる。ただし、問題はテレビ台に3台のデッキを置くスペースがないということ。
 妻がテレビ台の寸法やデッキの高さを測ったりしてくれて、テレビ台の上にもうひとつ踏み台を置いたらなんとかなるのではないかと考えてくれる。
 昼食後は午睡せず、読書。集英社新書編集部・編「『自由』の危機-息苦しさの正体-」(集英社新書)読了。帯の惹句には「今、この国で何が起きているのか? 声を上げよう!」とある。基調は、日本学術会議の会員任命拒否に対し、なぜそれが問題であるのかを26名の論客がそれぞれ自分の意見を主張するという形になっている。ただ、それだけではなく、「あいちトリエンナーレ」の問題などについて、第二次安倍政権以降国民の「自由」を少しずつ奪っていっている現状への警鐘が様々な立場から語られる。むろん、それぞれの意見を比べると微妙な違いが見られ、26人がすべて同じことを書いているわけやない。ただ、その違いこそが大切なんで、全体を読んだ時に多少の矛盾が生じることは編集部も承知の上のことなんやろう。「自由」とはそういうことなんやから。
 新型コロナウィルス感染症禍で、政府の失態が続き、安倍総理、菅総理ともまともに人々の質問に答えていないことが誰にもわかるようになってきた。そういう現在やからこそ、「自由」の危機について考える必要があると思うし、本書は自分の頭でそのことについて考える材料を提示してくれている。
 久しぶりに脳をフル回転させながら読んだもんやから、疲れた。夜は五輪大会の野球中継を見る。タイガースから出場している梅野捕手がスタメンで出ると新聞で読んだので、これは見なければと録画予約した次第。それはええけど、岩崎投手はワンポイント起用のみ、青柳投手はスリーランホームランを打たれて降板。梅野捕手に代打が出たので、試合途中やけれど見るのは8回終了まで。後でスポーツ紙のサイトを見たら、延長戦はタイブレーク方式で行われ、日本代表がサヨナラ勝利したそうで、よかったですね。私は青柳さんが打たれたんでちっとも嬉しくない。はい、今日もわがままな虎党の寝言です。
 エキジビションマッチは今日はお休み。そしてタイガースは甲子園球場を高校球児に返して、長期ロードに……今年は五輪ブレークで短期ロードですねえ。

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