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手塚治虫を追え! [読書全般]

 今日も一日ゆっくりと休養。午前中は「仮面ライダーガッチャード」「キングオージャー」や昨夜録画したアニメ「薬屋のひとりごと」などを見て過ごし、昼食は軽めにとり、それから午睡。胃の調子は少しはましになったけれど、昨日の寝る前など胃もたれに苦しみ胃腸薬を飲んだりしてしのいだ。夕刻目覚め、スマホをいじったり本を読んだりして過ごす。
 夕食は妻が食べやすい鍋物にしてくれたのと、胃の調子がかなりましになったのでしっかりと食べられ、胃もたれもそれほどなし。明日はなんとか仕事に行けそう。
 太田隆二「手塚治虫を追え!」(東京図書出版)読了。著者はもと「少女コミック」の編集者。表題作では新人時代、いきなり手塚治虫を担当することになり、手塚最後の少女マンガ誌掲載作品である「虹のプレリュード」の原稿を抑えるため、手塚の会津への家族旅行にまでついていったというエピソードなどが綴られる。「あかね雲残照」では竹宮恵子の「風と木の詩」の担当となったほか、有望新人の担当者となった著者が、若い男性担当とやはり若い女性マンガ家との距離の置き方について悩む様子が描かれる。「こずえを鳴らす風」では仕事に慣れた著者が、マンガ編集者の自己顕示欲について、後輩編集者との葛藤などを通じて苦悩する様子が描かれる。いずれも自分の体験を小説風につづったもので、自分を客観視して描こうとしたのだろう、全て三人称で綴られ、自分のことも「太田は」という風に突き放したような感じで表わしている。とはいえ、大学を卒業したばかりの若い男性と、高卒で上京してきたような女性マンガ家が互いに意識しないでおれないはずもなく、そこらへんの感情が丁寧に描写されていて興味深かった。特に手塚番をしながら担当した女性マンガ家にはかなり惹かれるものがあったようで、関係が疎遠になってから、彼女の自殺を知った時の心情など、青春時代の苦悩がそのまま描かれていたりしてどういう心情でこの場面を綴ったかと思うと読み手も辛くなってしまう。現在は定年を待たずに退職し、隠遁生活、とプロフィールにあるが、老齢となった著者が青春時代の生々しい苦しさをこれだけ書けるというのはたいしたもの。あまり描かれることのない手塚治虫の実父の姿などは貴重な記録かもしれない。「風と木の詩」や「スターレッド」などが連載されていた頃の「少女コミック」を愛読していた方はきっとより興味深く読めるんやないやろうか。

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