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南海ちゃんの新しいお仕事 [読書全般]

 今日も出勤日。体調はまずまず。授業は少しずつラストに向けて進んでいて、年度末までのプランはすべて立てられた。空き時間は事務作業中心。集めた課題のチェックなど、とにかくなるべく早めに成績を出すことができるようにこつこつと進める。
 電気カミソリが壊れてしもうたのであごヒゲはそれてへん。Amazonで安めのもの(ちゃんとしたメーカー品です)を発注したけれど、届くまでまだ間がある。マスクを外したら不精たらしいのが気になる。
 やはり放課後になるとかなりだるくなってきたんで、定時に退出。帰路、スマホにメールが来て、先行予約していた大相撲春場所のチケットがすべて落選していたことが判明。週末の正式発売日の発売開始時間にネットにアクセスするしかない。新大関誕生場所やから、競争が激しいのかもなあ。
 帰宅後、しばらく寝床でスマホをいじったりしてから夕食。食後は読書。読了後、少しうとうと。あと1日、なんとかもたせたいところですね。
 新井素子「南海ちゃんの新しいお仕事 階段落ち人生」(ハルキ文庫)読了。就職活動中の大学生、南海(みなみ)の特技は何もないところで転んだり、階段から落ちたりすること。それなのに常にかすり傷程度ですんでしまう。歩道橋を転がり落ち複雑骨折をしたはずなのに「痛いの痛いの飛んでけ」となでると何事もなかったように回復している。それを見た大企業の御曹司で常務の板橋に助けられる。板橋は他の誰にも見られない「裂目」を見ることができ、南海が転ぶのはその「裂目」にひっかかっているからなのだという。しかもその際南海は「裂目」を修復しているらしいのだ。板橋の会社に就職できた南海は、板橋とともに「裂目」の修復を毎日始めることになるのだが……という話。久しぶりに新井さんの作品を読んだんやけれど、驚いたなあ。デビュー以来40年くらいたつのに、その文体や作品世界に漂う雰囲気が全く変わってへん。高校生新人と話題になった頃のままなんである。しかもなんだか浮世離れしたようなところまで不変。本書の初出は2017年で、親本が出版されたのが2022年。つまり最新作。なのに1980年代の空気そのままという、これは稀有なことやないかと思う反面、その「なんとなくほんわか」という不思議な気楽さが現在の状況からかけ離れ過ぎているように感じさせられる。特に主人公のキャラクター造形は、今時の若者の気風とは全く違うように思われる。こんなふんわかしていたら、まわりの同調圧力から完全に浮いてしまい、生きづらくなりそうなもの。まるで氷漬けのマンモスを解凍したかのような気分にさせられた。一人称小説なのに、途中で何度か視点が変わってしまうという構成が、ベテラン作家としてはちょっといただけないように感じられた。いろいろな意味で新井さんという作家は特別なんやなあと感じ入った次第。そういう意味では本書は稀有な作品なのかもしれんけれど、それが肌に合わんとちょっときつく感じられてしまうかもしれん。根本的な「謎」は解決されないままなので、続編が書かれる可能性はありそう。その「謎」が解き明かされる完結編を期待したい。

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