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全国マン・チン分布考 [読書全般]

 今日は「たちよみの会」例会。午前中は例によってテレビを友とし、昼前には出立。家を出る前に古参Y氏から欠席連絡がきていたので、今日はひとりかなあと思いつつ、「フランソア喫茶室」に。行楽シーズンとあって店は常に満員。私も席に案内されるまで少しばかり待たんならんかった。
 誰かひょっこり来てくれんかと思いつつ、読書。誰も来そうにないのと列をなして席が空くのを待つ人たちの圧力もあり、30分ほど早めに切り上げて「丸善」へ。文庫、新書を何冊か買い、早目に帰阪。
 帰宅して録画した相撲を見る。幕下の翠富士は豪快なすくい投げで相手を一回転させる。十両では1敗同士で当たった炎鵬と翔猿が技の応酬。ちょっとした間合いの差で炎鵬が翔猿を投げる。照強は大翔鵬に対して猫だましからもぐって足取り。石浦は真っ向勝負で寄り切り。いやあ今場所の十両はほんまに面白いよ。
 松本修「全国マン・チン分布考」(集英社インターナショナル新書)読了。「探偵!ナイトスクープ」の依頼でかつて「全国アホ・バカ分布考」という研究を成し遂げた著者が、同じころに依頼を受けた女陰と男根を表現する言葉の地方別分布を、前回と同様の方法で解き明かしていく。今では卑猥な言葉として使われる女陰語も、もとは京都の宮中の女官たちの言葉からきているのではという推理を証拠立てていく。調査の過程もドキュメントとして細かく記しているので、謎が解き明かされる様子が手に取るように分かる。
 言語学者や辞書編纂者が手を出さなかった陰部に関する言葉を徹底的に調査したというだけでも、本書の価値は高い。幼子の女陰を饅頭にたとえて親しみをこめて使うた女官たちの言葉が、今では卑猥な言葉として放送コードにひっかかってしまう。語源をたどることにより、雅語としての「おまんこ」「おめこ」のすがたが明らかになっていく。著者の筆はこれらの言葉に対してちゃんと向き合うてこなんだ言語学者たちへの批判や、「まら」の語源をちゃんと調べもせずに一部の俗説を掲載し続けている辞典編纂者への批判へと向く。そこには古代から尊ばれてきた女性という性への畏敬の念がこめられている。23年前に番組に依頼を出してきた女性に、完成した分布図を渡すくだりなど、西田敏行局長ならハンカチを出して目元をぬぐうているんやないかな。
 とにかく労作。書き方や構成に対する批判もあるかもしれんけれど、誰も手をつけてないことをやったという、それだけで値打ちですわ。

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