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時代考証と喫煙 [映画]

 宮崎駿監督の新作アニメ「風立ちぬ」に禁煙学会がクレームをつけたとか。喫煙シーンが多い上に病気の妻のそばで喫煙をしているシーンもあり、青少年に悪影響を与えるという抗議やそうです。
 そうかてなあ、分煙どうのこうのというようになったのはここ20年ほどのことで、1980年代から90年代前半くらいまでは会議中に煙草を吸っていたり、職員室でもごく普通に自分の席で吸っていたりしてたよなあ。私の高校時代の担任の先生なんか、缶ピースを職員室の席に置いて生徒の前でチェーンスモーキングしてましたよ。それが良いか悪いかは別として、そういうことが当たり前に行われていた時代やったということ。1960年代の映画やドラマを見てごらんなさい。登場人物が至る所でくわえ煙草をしていたり、「よーし仕事だ」とかいいながらまず煙草に火をつけたりしているよ。
 確かに現在の者から見たら(特に禁煙学会の方々にとっては)噴飯ものかもしれん。それでも、時代考証ということを考えたら、その時代に分煙したり喫煙者が一人もいてなんだりしたら、その方がおかしいということになるのやないかなあ。
 宮崎監督は別に青少年に喫煙を推奨しているわけでなく、その時代のリアリティということを考えて喫煙シーンを入れているんやと思う。それは作品として見た時に、青少年たちも理解してくれるんやないかな。
 以前朝のテレビ小説「カーネーション」で一番違和感を覚えたのが、喫煙している人が一人もいてなんだことですわ。戦前戦中の成年男子がすべて煙草を口にしてへんというのは、私から見たら奇異に感じられたんやけど、こんなところまで自主規制せんならんというのは嫌な時代になったなあと思うた記憶がある。
 私は「風立ちぬ」はまだ見てへんけれど、もしテレビ放送をする時に喫煙シーンをすべてカットしてしまうような行き過ぎたことをするようなことがあるとすれば、それは映像表現への過度な介入やないかと思う。そんなことを言うていたら、ミステリは殺人シーンが多く青少年に悪影響を与えるやとか、時代劇で刀をさしているのは銃刀法違反者を増価させる悪影響があるとか、なんとでも文句をつけることはできるのね。
 大河ドラマなんかちょっとしたことでも「時代考証がおかしい」と文句をつけられるのに、時代考証をちゃんとしている作品に現代的視点で文句をつけるのはなにかおかしいと思うが、如何。

 8月18日(日)は「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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