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手塚の話したいなあ [追悼]

 昨晩、遠縁のおっちゃんの訃報が届いた。享年80。
 遠縁とはいえ、父とは幼い頃からの友だちで、互いに家庭を持ってからも家族ぐるみの付き合いがあり、私も小さい頃から可愛がってもろうていた。
 私にとっては特別なおっちゃんでもあった。というのも、大の手塚治虫ファンで、私はおっちゃんの家に遊びに行くとは、当時絶版状態やった「火の鳥」を読ませてもろうたものです。まだ中学生やった。「COM」の別冊として出された貴重なもので、まだ10代初めの私には、それまで読んでいた「どろろ」などとは違う手塚の一面を見せられ、ある意味ここで自分の人生観みたいなものが形成されたと言うてもよかろう。
 その手塚作品の魅力について、よく話をしたものです。私の父は手塚作品には全く興味をしめさなんだ人なんで、おっちゃんと語り合うのは私の楽しみやった。
 ここ数年は会うても法事の席など限られた場面ばかりで、「哲っちゃん、またゆっくり手塚の話したいなあ」というて別れるのがあいさつ代わりみたいになっていた。
 そして、もうおっちゃんとは手塚の話をすることはでけんようになったけれど、おっちゃんのおかげで、私は手塚治虫の深さを知り、それがSFに、そして書評や創作をするという道につながっていったんや。
 おっちゃん、ありがとう。さようなら。通夜に行き、最後のお別れをする時、そんな風に胸の内で語りかけたのでありました。

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