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半村良讃 [SF]

 朝から雨。今日は事務作業あれこれ。近隣の花屋に行き、来週の講演会で講師に渡す花束の予約注文をするなど、雑事多し。教員は授業だけしてたらええと思いなや。放課後は奨学金のネット申し込みをまだしてへん生徒の入力に付き添う。定時に帰れるかと思うていたら、そのぎりぎり直前に別の生徒がやってきて、結局30分ほどよけいにかかってしもうた。そやけど「俺は定時に帰るから入力はまた来週」てなわけにはいかんのよ。役所やとそうなるんやろうけれど、教員がそれをしたら今後の信頼関係をも損なうことになるしねえ。
 帰路は晴天。帰宅してすぐにプロ野球中継を見る。仙台でのイーグルス戦。仙台はずっと雨。それでも藤浪が今季初勝利。よかったよかった。交流戦最下位争いの相手だけに、ここで負けたらあかんぞよ。
 日下三蔵・編「日本SF傑作選6 半村良」(ハヤカワ文庫JA)読了。デビュー作の「収穫」をはじめ、「およね平吉時穴道行」「農閑期大作戦」「わがふるさとは黄泉の国」「夢の底から来た男」など初期を代表する短編と、「戦国自衛隊」を収録。
 おもしろい! うまい! 昔読んだ時には気がつかなんだけれど、どの短編も記憶よりもページ数が少ないのですね。そやのにちょっとした中編を読んでいるくらいの中身の濃さがある。「戦国自衛隊」もそう。こんなに短かったっけ、と思いながら一気に読んでしもうた。
 そやからというて大幅に省略されているという感じでもないのが、半村さんの凄さなのですね。大きく深い内容を過不足のない密度で展開させている。ただ、「石の血脈」の原型となった「赤い酒場を訪れたまえ」だけは、多くのアイデアを少ない枚数に詰め込み過ぎたという感じがした。これは仕方ない。あの分厚い大長編を短編の中におさめようとしているんやもんなあ。そら無理があります。「戦国自衛隊」ももう少し枚数がほしかった。歴史改変もののはしりというべき作品やけれど、他の歴史改変ものと違うのは、歴史の流れを調整するために自衛隊がタイムスリップさせられたという発想。歴史の流れが自然法則としてタイムスリップという現象を起こさせたんやないかと、ここらあたりははっきりと種明かしをしてへんのでこちらが想像するしかないんやけれど、大筋としては間違うてへんと思う。ジャンル書評家として一時期は出版される架空戦記を軒並み読んでいた私には、ブーム時に乱造されたものとは一線を画す芯が一本通っていると、改めて感じましたね。
 これで第一世代作家によるSF傑作選の第一期がすべて刊行されたわけやけれど、さて第二期のラインナップはどうなるのか。豊田有恒、山野浩一、高斎正、石原藤夫など実力派はまだまだいてますからね。日下さん、楽しみにしてますよ。

 6月17日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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