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エラリー・クイーンの新冒険 [読書全般]

 ホームページ開設24年目に突入であります。ほぼ毎日この日記も書き続けているわけでして、ようやるわと自分でも思う。書き始めた当初、ここまで続くとは思うてなんだ。当時はレギュラーページのある書評家で、「おどりじいさん」で正式デビューした作家でもあったのですね。
 今や休日の午前中はアニメ漬け、午後から昼寝して夕刻からスポーツ中継の録画を見るというようなおっさんであります。こんな私に誰がした。自分でした。
 というわけで、そういう一日を送る。記念すべきふたまわり目(干支でね)の日やというのに、手を抜いてはいけません。
 台風は我が家にはほとんど被害をもたらさず、太平洋に抜けていきました。
 エラリー・クイーン/中村有希・訳「エラリー・クイーンの新冒険」(創元推理文庫)読了。エラリー・クイーンという探偵には強烈な個性がないのがよいところで、純粋に推理ゲームを楽しめるように作者がそうしているのだけれど、それが悪い方に行くと、キャラクターが作品ごとに変わってしまうということになる。本書は3部に分かれた短編集で、目の前から忽然と家が消えてしまうという「神の灯」と、タイトルに必ず「冒険」がつく気のきいた短編群、そしてスポーツ・ミステリの異色短編群という形になっている。推理部分に関しては第一短編集「エラリー・クイーンの冒険」(創元推理文庫)と同様切れ味のよいものなんやけれど、スポーツミステリでのクイーンはニューヨーク・ジャイアンツを熱狂的に応援したり、大学のフットボールチームに熱を入れたりと、これまでに見せたこともない「個性」が表に出てくる。しかも女優のパートナーがいっしょについてまわる。これは絶版になっている「ハートの4」(創元推理文庫)に登場する女性なんやけれど、これが絶版になったままなので、関係が非常にわかりにくい。一応作品中にかんたんに訳注がついているんやけれど、これでは足りん。創元推理文庫は新訳版として「新冒険」を出す前に、復刊フェアで「ハートの4」とそれにつらなるシリーズを出しておくべきやったんやないかなあ。もともとはミステリ読みではない私は「ハートの4」を読んでへんので、そこらあたりが作品を楽しむ邪魔になってしもうた。短編ミステリとしては、どれも小味で切れがよいものばかりなんでお薦めですが、「国名シリーズ」などでのクイーン探偵のキャラクターしか知らん私のような読者は気をつけた方がええと思います。というわけで、創元推理文庫は絶版になっているクイーンの作品をどんどん復刊してください。言いたいのはそこですか。

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