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ロリン・マゼールの死 [追悼]

 愛すれどTigers「関本が代打逆転満塁ホームラン」を更新しました。

 クラシック音楽の指揮者ロリン・マゼールの訃報に接する。死因は肺炎。享年84。
 私はマゼール氏の生の演奏を聴いたことがない。実はそこが心残りなのですね。というのも、マエストロ・マゼールは録音と実演がかなり違うたらしいのです。音楽雑誌などを読むと、かなり面白い演奏をしたらしい。
 実はその片鱗は若い頃の録音に残されていて、デッカに残したウィーン・フィルとのシベリウスやチャイコフスキーの交響曲全集やとか、「春の祭典」の録音は実にユニークで型破りな演奏なのですね。
 ところが、クリーブランド響の音楽監督になってCBSに残した録音を聴くと、前任者のジョージ・セルのイメージを壊してはいけないと思うたのか、極力精緻で密度の高い演奏を残そうとしている。悪くはないんやけれど、若い頃のものと比べると面白くない。この時分の録音ではガーシュウィンの「ポギーとベス」の全曲録音が貴重やね。ミュージカルやなくオペラとして、ガーシュウィンが望んだと思われる形での演奏を残している。これは一時期ほんまによく聴いた。
 クリーブランドを離れたあとはウィーンフィルと組んで、ユニークな録音をたくさん残している。特にRCAに残したラヴェル「ボレロ」は大傑作。こんな「ボレロ」はそれまで聴いたことはなかったし、今後もないやろう。とにかく音がうねるうねる。ラヴェルがベルリオーズになったみたいな不思議な演奏でありました。もっとも、これをひっさげてウィーンフィルと楽旅に出たら、スペインやフランスで大ブーイングが起きたなんて記事を雑誌で読んでいかにもそうやろうなあと思うた。
 神童としてデビューし、巨匠らしくない巨匠として自分のやりたい音楽を、ブーイングを浴びながら演奏し続けたマゼール氏の演奏を一度生で聴いておきたかったなあ。
 謹んで哀悼の意を表します。

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