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映画の喫煙も成人指定? [時事ネタ]

 読売新聞のサイトによると、WHOが「喫煙シーンのある映画やドラマについて、若者を喫煙に誘導する効果が高いと指摘する報告書を発表し、「成人向け」に指定する措置を各国政府が講じるよう勧告した」とのこと。
 何を非現実的なことを、と思う。
 なんでも「登場人物や役者の行動に影響されやすい若者が、まねして喫煙を始めるケースが多い」からやとか。まあそういうことはあるでしょう。そやからというて、喫煙シーンを見た青少年がすべて喫煙を始めるわけでなし。
 そんなことを言いだしたら、古今東西の名画のほとんどが「成人向け」になってしまう。今年私が授業で生徒に見せた「英国王のスピーチ」、「ヒトラー最期の12日間」も「成人向け」になる。史実を題材に撮った映画で誰も喫煙をしないなんてなると、かえって不自然ですよね。
 むろん「シャーロック・ホームズ」も「刑事コロンボ」もアウトです。「風と共に去りぬ」も「ローマの休日」もアウトです。「ゴッドファーザー」も……ああきりがない。自分が若い頃に見て感銘を受け、今の若者に見せてやりたいと思うても、主人公や登場人物が喫煙するというだけで無条件に見られなくなるということになる。
 かつて嫌煙団体が宮崎駿監督の「風立ちぬ」で主人公が喫煙するのはよくないとクレームをつけた時に、この日記で批判したことがあったけれど、なんというか短絡的というか。これでは殺人犯が登場するミステリ映画は青少年を犯罪に導くからアウト。文楽の心中物は青少年を心中に導くからアウト。落語もあかんな。死人にかんかんのうを踊らせたり、壷を詐欺まがいに値切ったり、ろくなことがない。
 WHOの勧告に対し、映画人が正面切って抗議してくれることを願うばかりであります。

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