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陣幕久五郎 [読書全般]

 今日は文化の日。なんでも「明治の日」に変えたいとか某会議に連なる議員さんたちが言うてはる。防衛大臣なんか「神武天皇以来の……」なるスピーチをしてはる。神話か伝説の類の天皇を持ちだしてくるとは恐れ入りました。この方はおそらく日本はイザナギとイザナミによってアマノヌボコがこおろこおろとかき交ぜてたらできた、なんてことも史実として信じてはるのかもしれんね。で、やはり「大正の日」をつくろうという声はあがってこないのです。これひとつの不思議。
 というわけで今日は祝日。まあよう寝た。夕刻から起きてきて読書。村上元三「陣幕つむじ風」(光文社文庫)を読んでいる。力士を主人公にした歴史小説というのは珍しい。さすが歴史小説の大家、目のつけどころが違う。江戸末期から明治初期、大相撲を残し、歴代横綱を制定し、政治力に長けた異端の横綱を主役にもってきているのです。しかも「大相撲」という専門誌に連載されたものやから、目の肥えた相撲ファンをも満足させなならん。
 陣幕久五郎という横綱については「負けず屋」と呼ばれるほど強かったこととか明治になってからやたら石碑を建立し、彼が作った「歴代横綱碑」によって初めて歴代横綱というものが確定されたことくらいしか印象になかったけれど、作者は時代に翻弄されながらも相撲という文化をいかに後世に残すか腐心した人物として描いていて、非常に面白い。あと少しで読了。明日の出勤時は本を読む余裕がありそうなんで、一気に読んでしまおう。

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