香川伸行の死

　「ドカベン」こと元プロ野球選手香川伸行さんの訃報に接する。享年５２。死因は心臓発作。
　年齢を見て驚いた。私と同い年やったからで、生年を見たら1961年とひとつだけ上やった。もう少し上のように思うていたんやけれど、高校生にとっては１学年上でももっと年上に見えてたのかな。
　もっとも、テレビで見る香川さんと、バッテリーを組んでいた牛島さんは、自分なんかよりずっと大人に見えていたからね。それでもう少し年上に思うていたんかもしれん。
　あの時の浪商は強かった。いや、強さでいうたらここ数年の大阪桐蔭や、ＫＫコンビのＰＬ学園の方が強かったと思うけれど、インパクトという点ではあの時の浪商の方が私には強い。
　香川さんのあの体型から繰り出されるホームランは忘れられんなあ。プロ入りしたのが南海ホークスやというのも、香川さんに合うていたように思う。「香川の人気がほしい」とはっきりと球団関係者が報道陣に言うたという記憶があるけれど、あの時分のホークスは弱体化していて大阪球場は毎日閑古鳥やったからなあ。
　でも、香川さんは人気だけの選手やなかった。ジュニアオールスターでＭＶＰに輝くと、一軍ではいきなりホームラン。一軍に定着した年には首位打者をとるかという勢いで打ちまくった。あの真ん丸な体型やけれど、杉浦監督がサードにコンバートした時の動きはなかなか敏捷で驚かされたもんや。
　大記録を打ち立てたというわけやないけれど、それ以上に記憶に残る人気者やった。
　昨年、スポーツ紙で思い出を語る連載企画に登場していた。今はもう内臓ががたがたやったみたいやね。闘病生活も長くなったということやった。
　今日のプロ野球中継で福本豊さんと有田修三さんが、懐かしげに香川さんのことを語っていた。相手チームの選手からも愛される人柄やったんやね。「ホームに滑り込もうと思うても、ドカは重いからベースの上に座られたらこっちがはねとばされるんや」と福本さん。
　現役ではライオンズのおかわりくんこと中村剛也選手の体型が近いけれど、香川さんに比べたらスマートですよ。あんなまんまるなプロ野球選手なんてもう二度と出てこんやろうなあ。
　謹んで哀悼の意を表します。