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マーダーボット・ダイアリー [SF]

 朝、妻に起こされる。いつもよりも45分の寝坊です。アラームに使うている古い携帯電話の電池切れで、目覚ましが鳴らなんだのですね。それでも朝食を取りながら、アニメ「ヴィンランド・サガ」だけは見る。定刻通りに家を出立。妻には迷惑をかけていますわ。おかげでぶじ通常通りの時刻に出勤できた。
 授業はひとコマ。空き時間は奨学金関係の書類送付の準備に使う。全員提出してからとも思うたけれど、そんなことをしていたら締め切りに間に合わん。学生支援機構にはFAXで何名かは送付が遅れると連絡しておく。自分の将来にかかわる書類なのに、なんで締め切りを守られんかなあ。これ以上遅れたら申し込みが取り消しになってしまうと警告しているのに。痛い思いをするのも人生勉強、なんていうてられんと思うぞ。
 午後は会議。ひとつは私が仕切らねばならんものなので、終了後はほんまにへろへろ。会議の記録を作成してから定時に退出。帰宅してから「アフリカのサラリーマン」など、朝に見られなんだアニメを妻といっしょに見る。
 CDプレイヤーは一時棚上げにすることにした。パソコンに外付けのDVDドライブを接続したらこれまで通り使えることに気がついたので。明日にでも電器店に寄ってものを探すとしよう。
 マーサ・ウェルズ/中原尚哉・訳「マーダーボット・ダイアリー 上・下」(創元SF文庫)読了。主人公は警備用のアンドロイドである警備ユニット。かつて大量殺人を犯したことがあるけれど、記憶を消されて、仕事を継続中。殺人ロボットなんで、「マーダーボット」なのですね。お話はこの警備ユニットの一人称で進むんやけれど、その一人称が「弊機」で、ぜんぺんですます調なのがユニーク。さすがベテラン翻訳者で、文章もこなれているし苦いユーモアのニュアンスも伝わってくる。海外作品はほんまに訳者次第やなあと思う。で、このマーダーボットは人間の作ったドラマをダウンロードして、任務中も並行しながらドラマを楽しむというんやから、そこらあたりもユニーク。中編4話の連作やけれど、話が連続しているので1本の長編として読むことができる。
 第1話では惑星調査に出た学者の護衛。ただの護衛やないのです。ハッキングやらなんやらあらゆる手段を駆使して仕事を全うする。妙なプライドがあり、慰安用ボットやペット用ボットを見下してみたり、せっかく雇用者である保険会社から学者が買い取ってくれたのに、そこから逃亡して自分の意思で動こうとする。AIが少しずつ人間に近づいていく過程を描いた物語なんですね。あくどい仕事をする企業から学者を救い出す作戦の妙味、ほどよく挿入されるアクションシーンなど、アイデアてんこ盛りなのに、それらがうるさく感じられず、有機的につながっている。なるほど、米国でヒューゴー・ネビュラ、ローカスと3冠に輝いたのも伊達やないね。徹底した娯楽作品ではあるけれど、たくまざるユーモアと、主人公につきまとう陰の部分の苦みが見事にブレンドされている。どうやら続編は長編で来年に本国で出版予定とのこと。邦訳はちょっと先になるやろうけれど、今から待ち遠しいね。いや、実に楽しく読めました。

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