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漫画の未来 [読書全般]

 今日は定休日……を月末に振り替えて出勤。学年末考査の答案返却、成績提出、入試関係の作業などがあり、休むわけにはいかなんだのです。3連勤4連休のリズムが体に染みついているから、朝起きるところからしんどかったけれど、気合を入れて出勤。答案だけやなくノートやプリントの返却もあり、ひたすら校内をかけずりまわる。計算ミスなどを訂正して、最終的な成績を出す。入試準備などが間にはさまり、成績提出の作業が遅くなり、担任の先生たちにはご迷惑をかけた。なにしろ昼食後、急に眠気に襲われたりしたもんやから、その分作業が遅れてしまい、それがなければ時間内に提出できたんやけれどね。
 すべきことをすべてすませて、定時に退出。へろへろになりながらもなんとか帰宅。すぐに寝床でどぶさり、夕食後も寝床でだらだら。明日はしっかり休んで疲労をとりたいもの。とはいえいつもなら今日一気に見るアニメなどがたまってるから、午前中はテレビに貼りつきか。
 小川悠介「漫画の未来 明日は我が身のデジタル・ディスラブション(破壊的変革)」(光文社新書)読了。漫画の読み方がワールドワイドで変わっている。日本式の単行本ではなく、スマホ用の立て読み式のウェブトーンが若い世代を中心に広まっている。経済的に逼塞していた韓国の会社が、縦にスライドして読むことのできるウェブトーンを開発し、起死回生のヒットを飛ばした。日本でも「ピッコマ」や「LINEマンガ」などのアプリで韓国製の異世界転生ものなどが配信され、何話かを無料で読み、毎日待てばさらに無料で読めるというサービスで読者を増やしている。
 著者は共同通信の経済記者。経済の視点で、ウェブトーンが従来の日本漫画を駆逐する可能性があるかということを検証している。私はLINEマンガのアプリで無料分だけつまみ読みをしたりするんやけれど、確かに手軽に読めて、さらに続話を読んでみたくなるような構成、カラーであることでアニメを見ているような感覚など、魅力的な部分もあるけれど、日本の漫画のような緻密な構成や大胆な表現などはできにくい。著者は手塚るみ子さんのコメントとして「父(手塚治虫先生)が生きていたらウェブトーンも描いてみただろう」と紹介しているけれど、おそらく手塚先生は1作だけやってみて手をひくのやないかと思われる。というのも、ウェブトーンはプロデューサーのもと、完全な分業形式でやっているので、作家性が薄く、手塚先生のように何でも自分一人でやらんと気がすまんようなタイプの人では時間も労力もかかり過ぎる。しかも立て読みスクロールという形式にはかなり制約があり、しかも量産するために同じような話を次々と出していかねばならぬ上、無料で一気に読んでもらう分も含めて配信開始までにかなりストックを作っておかんといかんからだ。アニメ制作でも放送ぎりぎりまで手直しをしないと気がすまん手塚先生にはあまり向いていないと、長年のファンである私は感じる。
 そんな工房で量産される作品群なので、何度も繰り返して読みたくなるような深いテーマ性のものはなかなか作りにくいのも難点。つまり、大量に生産され、大量に消費されていき、読み捨てられるようなものが多いので、ストーリー展開や設定などがかなり雑なんですね。
 ただ、それは幼少から日本漫画を読んで育った世代やからそう思うのであって、若い世代には関係のないことと著者は判断している。今は「外科医エリーゼ」のようにウェブトーンからアニメ化されるものもできているけれど、アニメ化されたもので比較したら、やはり日本漫画原作のものの方が構成がしっかりしていて面白い。韓国ウェブトーン原作のものは、アニメ化されたものを並行して見ると、ウェブトーンならではの雑さが気になってしまう。
 今後、ウェブトーンが日本漫画を駆逐し、日本漫画はガラパゴス化すると著者は予想しているけれど、現状ではアニメ化ということを視野に入れると、日本漫画がそう簡単に駆逐されるとは思われん。ただ、ウェブトーンに関する情報は非常に細かく取材されていて、そういう意味では本書は21世紀初頭の段階でのウェブトーンについての貴重な記録となるやろうと感じたのです。スマホでウェブトーンを読んだりしている人以外の日本漫画ファンにはぜひ一読していただきたい。そして、漫画の未来について考えてみていただきたいのです。

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