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代表取締役アイドル [読書全般]

 今日から定期考査。考査終了後、テストの印刷などをしようと思うて時間を取ってたんやけれど、1年社会の主担の先生が「僕やりますわ」と言うてくれはったので、お言葉に甘えることにした。成績の算出など、すべきことはもちろんあるんやけれど、明日は土曜出勤で、体力を温存しておきたかったので時間休をとり早退。
 帰宅して、追っかけ再生で相撲中継を見る。なんと正代と翔猿が2敗でトップ。翔猿は明日は大関貴景勝と対戦。もし翔猿が勝ったりなんかしたら新入幕優勝なんてこともありうる。初場所で徳勝龍に優勝を許してしもうただけに、貴景勝は大関という地位にかけても意地でも勝たんとあかんなあ。
 夜はラジオとスマホでプロ野球中継を聞いたり見たり。いやしかし新型コロナウィルス感染症陽性者と濃厚接触者を一軍から外し、名古屋にいた二軍の選手と入れ替えたりして、ベンチ裏ではもうパニック状態やったんと違うかな。負けるべくして負けたか。
 小林泰三「代表取締役アイドル」(文藝春秋)読了。同族会社の会長がどら息子に社長の座を譲り渡し、たまたまテレビのニュースで見かけた地下アイドルの河野さららを社外取締役にしてしまう。かなり誇張して描いてはいるけれど、おそらく作者が長年勤務していた会社をモチーフにしているんやないかな。創業者の威光でもっていた会社が無能な三代目のもとで崩壊していくさまを、経営のなんたるかもわからないけれど、地下アイドルという立場で苦労してきた主人公の冷静な視点から描く。このアイドルが会社をたてなおしたりするドラマチックな展開を期待するような読者には申し訳ないけれど、小林さんは現実の厳しさを主人公にきっちりとつきつけるのです。アイドルが大企業の取締役になるというのはある意味ではファンタジーではないかと思うけれど、現実ではアイドルではないけれど有名人を社外取締役にしたりしてついに消滅してしまった会社があるわけで、実際のその会社もこうやったんかいなと思うと、会長と社長の無能ぶりがリアリティをもって迫ってくる。そして彼らに逆らうことのできない社員たちの姿もまた。そんな嫌な気分を抱かせる話なのに、救いをもたせる展開にもなっているあたり、小林さんの新境地という感じもいたします。これは企業小説のカリカチュアではあるけれど、寓話というものは人の心に様々な教訓をもたらすものなのです。就活中の学生さんには特に読んでいただきたいと感じた次第。

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