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平凡すぎて殺される [読書全般]

 今日は月例の京都の医者行き。行きの阪急の特急はかなり混んでいて、途中で運良く座れたけれど、なにしろ蓄膿が完治してへんので鼻をすすったり軽く咳きこんだりしてたから、まわりの乗客は嫌やったかもしれんなあ。マスクに「私は蓄膿です」とでも書いておくべきか。
 診療後、どこにも寄らずに帰宅し、午睡。とにかく疲れた。早く蓄膿が完治してくれることを願うのみ。
 夕刻起きてきて、録画したデーゲーム中継を見る。BS日テレのサブチャンネルで録画したので、試合終了まで見られたけれど、また負けて開幕8連敗。しかし坂本勇のホームランなんか、打った瞬間は実況アナウンサーが「レフトフライ」というたのがホームランになるという、いわゆるドームラン。東京ドームはスコアボードの電飾を大きくするとかいう改修やなく、ドームランを防ぐために屋根をエアドーム式からちゃんとした素材のものに変えるとかしていただきたい。
 夕食後は読書。クイーム・マクドネル/青木悦子・訳「平凡すぎて殺される」(創元推理文庫)読了。「このミステリ、面白すぎる」というのが帯のあおりで、あとがきでも役者が原著を一気読みしたとか書いてあったので読んでみることにした。ある理由で、病院で介護ボランティアをしている主人公ホールは看護師ブリジットに頼まれて介護した老人が急死したため、なぜか命を狙われる羽目になり、ブリジットとともに逃走する。確かにこのシチュエーションは面白い。しかし作者は本来芸人やそうで、そのためサービス精神からか警察官の動きや追う側の連絡の会話やら、なんでもかんでも話に入れてしまう。そのため、理解不能の闘争のスピード感が残念ながら落ちてしまう。おもけに舞台となるアイルランドのことをよくわかってへんと意味が取りにくい部分もある。私はふとウィリアム・アイリッシュやったらどう書くかと思いながら読んだ。アイリッシュなら追われる二人に描写を絞り、ときどき追う側の影をちらつかせながら、本書の半分くらいの長さで一気に読ませるんやないか。確かに登場人物はみな個性的で、いろいろと仕掛けもしてあって面白くなる要素は多いと思う。ただ、ミステリやサスペンスではなければ、の話。コメディ小説ならばもっと楽しめたと思う。いろいろと書きこんでくれたおかげで事件の真相も意外性がなくなってしもうたし、せっかくの闘争劇にも緊迫感が無くなってしもうた。そういう意味では私にとっては「残念な小説」という感じやった。ただ、そういうとっちらかったものを読みたいという人には最高に面白い作品かもしれん。なんでもかんでも面白そうな要素を全部詰めこむだけでは面白くならんから、ばっさりと切り捨てることが大事なんやということを再確認させてくれた。ちなみに邦題はおかしい。主人公はちっとも平凡な人間やないし、わけありなものをいろいろ抱えているからね。

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