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上方落語の戦後史 [読書全般]

 戸田学「上方落語の戦後史」(岩波書店)読了。
 労作、という言葉しか思い浮かばん。これまで上方演芸の歴史をたどったものは数多く読んできたけれど、ここまで落語に絞り、なおかつ事実と確定できることのみを年代別にきっちりと書きこんだものはなかったと断言していいんやないか。むろん六代目松鶴と米朝が戦後の落語史の軸となるわけやけれど、この二人がどのように意識的に役割分担をしてきたかということも、本書を読めばよくわかる。もし中川清青年が桂米朝になっていなかったら、六代目松鶴がその役割もはたしていたのではないかという考察は、これまでにないもので、しかも非常に説得力をもっている。
 これまで著者がしてきた仕事の集大成といえる大著。上方落語が好きな方は是非ご一読を。ただし、本体4600円という価格ゆえに、無理にでも買えとは言いませんので、図書館にリクエストするなりなんなりしてお読みください。
 なお、本書は桂米朝の人間国宝認定までで区切りをつけている。著者としてはどこで切るか迷いつつこうしたんやろうけれど、ぜひその後の落語史も続けて書きつづっていってもらいたいものであります。

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