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ゲド戦記 [SF]

 今日も寒い一日。ついに真冬用のダウンジャケットを着て通勤。出勤時の朝はまだ暗い。しばらくこの夜中に出勤しているみたいな、鬱々として楽しまぬ季節が来たんやなあ。むろんお山の学校の仕事部屋はストーブ全開、電気ヒーターのスイッチも「強」に。それでもなかなか暖まらんのです。
 退出時もすっかり暗くなっている。12月やもんねえ。今年の当時は22日。そら朝も夕も暗いはずです。
 ああ、冬が来た。
 アーシュラ・K・ル=グウィン/清水真砂子・訳「アースシーの風 ゲド戦記6」(岩波少年文庫)読了。やっとこさ最終巻を読み終えました。間に他の本をはさんでいたりするから第1巻に手をつけてからかなり時間がかかってしもうた。もっとも、ページをめくる時間も惜しいというようなドキドキワクワク物語やなく、じっくりと読み進める方がよいというようなシリーズですからね。
 本巻は夢の中で黄泉の国にいる妻と出会い、それから寝るごとに黄泉の国に行く男ハンノキの登場で始まる。彼はゲドのもとにきて相談をし、ゲドはレバンネン王のもとに行くように勧める。王は王で暴れまわる竜の対策に手を焼いていた。黄泉の国の秘密、竜が暴れる理由、そしてローク島で魔法使いとともに王たちがとった解決策。これらが最後にはパズルのピースのようにきっちりとはまっていく。
 教養小説(ビルドゥングス・ロマン)なのかと思うて読んだらあかんということはここまでの巻でわかっていたので、本書は割とするすると読めた。太古の言葉が失われ、世界にほころびが生じているのをなおす、という世界観構築の物語なので、端々にちりばめられた謎もすべてその手掛かりやと思うて読む。そして予想した通りにその謎や秘密があるべきところにおさまってアースシー世界は再構築される。そこには登場人物の人間的成長など介在する余地はないのですね。ゲドをはじめとする数多くの登場人物の個性は特に際立ってないのも、ル=グウィンにそちらの方面の関心がなかったということなんやろうと思う。そやから、ドキドキワクワクする要素がないのです。訪れる困難に対して彼らはひたすら耐える。ただただ耐える。そして辛抱ずよく歩を進め、なんとか突破するけれども、代償として失うものも大きかったりする。それに心を動かせられるかどうか、それによって好き嫌いの分かれる物語なんやないかなあと感じた次第。
 とにかくなんとか読み切ったぞという達成感だけはあるのですけれどね。それ以上のものがあるかと言われると、私にはちょっと辛かったというところですね。

 12月16日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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