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吾妻ひでおの死 [追悼]

 今日は完全休養日。朝のうちに昨夜録画した深夜アニメを見て、再度寝床に。昼ごろ起きて昼食。
 テレビをつけたら徳仁天皇の「即位礼正殿の儀」の中継を見る。有職故実に通じた人が進めているんやろうけれど、とにかく何もかもゆったりしていて別次元の出来事みたいに見える。NHKのアナウンサーは淡々と状況を説明。高御座のカーテンは、あれは「とばり」なんですね。城達也さんが昔ラジオの「ジェットストリーム」で「夜のとばりが……」と言うたはったけれど、この歳になって初めて「とばり」というものを具体的にイメージできた。次の即位礼は私は見られるかどうかわからんから、見ておくにこしたことはない。
 そのあとパソコンを立ち上げてかきものを少しする。それからしばらく読書をし、そのまま午睡。夕刻起きてきて、また読書。夕食後は妻と先々週に録画した「いだてん」などを見る。疲れが取れたかどうかはわからんけれど、昨日よりは体が軽くなったように思う。
 漫画家吾妻ひでおさんの訃報に接する。享年69。死因は食道癌。
 この前「不条理日記 完全版」(復刊ドットコム)を買うて読んだばかり。8月1日の日付が入った「不条理日記2019」が絶筆となったんやね。抗癌治療のことがあとがきで書かれていた。手足に力が入らず、2ページを書くのにも苦労したということで、あの滑らかなタッチは完全に失われていた。
 吾妻さんの漫画を初めて読んだのは少年チャンピオンの「ふたりと五人」やったと思う。あのころのチャンピオンは「がきデカ」「マカロニほうれん荘」といった強烈なギャグ漫画が連載されていて、ほかにも「ブラックジャック」に「ドカベン」と人気漫画が目白押しやったから、印象は薄かったのですよね。まだ殻を破り切れてへん感じでもあったし。で、みのり書房の「Peke」「コミックアゲイン」に掲載された「狂乱星雲記」などをよんでびっくりした。そしたらSFマガジンに「メチル・メタフィジーク」の連載が始まり、もう夢中になって読みましたね。乏しいこづかいをはたいて「不条理日記」をはじめとする奇想天外社から出された一連の単行本をそろえた。手塚全集も毎月買うていたので、かなり手元不如意やったはずなんやけれど、よう買えたなあ。でもハードカバーの「日射し」はさすがに手が出なんだけれど。でもギャグ漫画というのはそうとうきつかったらしく、また吾妻さんにはハイレベルなものが要求されるようになったから、「失踪日記」を読まはった方はご存知のように、ほんまに漫画の世界から消えてしまわはった。「失踪日記」が出た時は即買うて読んだけれど、あんなに読むのが辛い漫画はなかったなあ。
 それでも、やっぱり「不条理日記 完全版」の発売をアマゾンで知った時は注文せずにはおられなんだ。ご本人が作品解題をしてはって、これは我々ファンに対する最後のメッセージとなった。むろん読んでいる時はそうは思わなんだけれど。
 SFファンであることを自覚した初心者高校生に、どつかんどかんとSFの濃いエキスを叩きこんでくれた一連のナンセンス漫画は、我々の世代にとってどれだけインパクトがあったことか。ほんま、70年代末から80年代初頭の吾妻ひでおワールドは強烈やった。
 訃報を知り、「不条理日記」を手にとって何度も読み返した。今読んでも、やっぱり凄い。
 いろいろと書きたいことはあるけれど、どう書いていいのか。
 もうなんも思いつかん。
 謹んで哀悼の意を表します。

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