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丕緒の鳥 [読書全般]

 今日も油断すると肌寒い。かと思うと汗ばむ時もあり、まったくもって体温調節には気を使う。今日も授業はひとコマだけ。空き時間は教材作製、印刷、送付書類作成など細々とした事務作業に徹する。定時に退散。
 帰宅後は録画した番組は少しだけしか見てないで、妻に昨日贈ったコミック「世界の終わりに柴犬と」を「読めたよ」と渡され、楽しく読む。ほとんど内容も知らず表紙とタイトルに惹かれて、これは妻が喜びそうやと当たりをつけて贈ったんやけれど、どんぴしゃストライクゾーンに入ったらしい。世界で唯一生き残った少女と柴犬ハルが廃墟を旅する四コマもの。夕食後は妻と漫画談義。コンベンションの企画みたいな会話をしてました。
 小野不由美「丕緒の鳥 十二国記」(新潮文庫)読了。「白銀の墟 弦の月」を読んでたら、この短編集だけ未読やということが判明した。刊行ペースが遅いうえに版元が途中で変わったりしてるから、とりこぼしてしもうていたようです。というわけで、「白銀の墟 弦の月」の続きがもうすぐ出るんで、そのつなぎみたいな気持もあって早速購入して読んだ次第。新王が即位した時に飛ばす陶製の鳥を作る役人が、新王の反応を気にかけ、製作の際に迷いを生じる「丕緒の鳥」、王が弱り国に凶悪犯罪が増える中で、休止していた死刑を復活させることによる民と国への影響に思い悩む役人の心情を描く「落照の獄」、国王の死により枯れ果てた森を復活させようとする男の苦闘を延々と描き出す「青条の蘭」、小国が荒れても暦を作り続ける男たちに対する少女の思いの変化を綴る「風信」の4編を収録。どれだけ国が荒れとるんや十二国。救いのある話も救いのない話も、とにかく重い辛いきつい。普通短編集というと、いろいろとバリエーションをつけたいところなんやけれど、いずれも王の力が弱まったり不在やったりして民が苦しむ話ばかり。ひとつひとつの話は非常によくできた佳作やと思うんやけれど、国王によって苦しむのは民というテーマに統一されていることで、非常に重苦しいものになってしもうている。で、この後に「白銀の墟 弦の月」というこれまた非常に重苦しい長編が来るわけで、作者はどういう心境でこの物語を綴っているのか、書いててしんどうないんかと逆に心配になってしまいました。「白銀の墟 弦の月」の残り2冊の展開が明るいものであることを祈ろう。

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