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山崎豊子の死 [追悼]

 愛すれどTigers「打線機能せず、2位の座もピンチに」を更新しました。

今日は、1年生を連れて社会見学。昨年同様産経新聞社大阪本社に行く。対応がていねいで、しかも生徒たちに現場の空気を味わわせられるので、非常にありがたい。今年はサンスポの澄田デスクがプロ野球取材で大切なことなどを現場での体験談を交えて教えてくれた。ありがたいことであります。もっとも、事前情報でデスクに私がタイガースファンであることを伝えられていて(そやからサンスポを選んで見学依頼をしているのでありますが)、所々で私に話を振ってくるのでありました。まいったなあ。
 で、編集局で紙面構成をしているのを見せてもろうていたら、そこで作家の山崎豊子さんの訃報 を知る。死因は心不全。享年88。
 私は以前山崎さんの作品をまとめて読んだことがあって、いずれも初期の大阪の老舗を舞台にした作品ばかり。昆布屋を舞台にした「暖簾」、吉本せいをモデルにした「花のれん」、戦前戦中に生きる老舗の放蕩息子が主人公の「ぼんち」などなど。後年の社会派とは違い、情と根性を中心にしたかなりウェットな小説ばかり。私は特に「ぼんち」が面白いと思うた。複数の愛人たちとともに防空壕で過ごすくだりなど、男女の中の摩訶不思議さというものを余すところなく描いている。市川雷蔵主演で映画化されているけれど、これがまたよろしいのよ。いつもの危機迫る雷蔵と違い、なんともへたれた若旦那が板についていてさ。
 むろん「白い巨塔」も読んで、これも非常に面白かった。手塚治虫さんがこの話に刺激を受けて描いたのが「きりひと賛歌」やと言われている(どこまでほんまかわからんけれど、大学病院での権力争いなどはテーマ的にかなりかぶっていることは確か)。そこから社会派への道が開け、世間では山崎豊子さんといえば社会派作家という定評が確立したのはみなさんご存知のことと思う。
 それでも、私は戦前の船場の空気を十分に匂わせてくれる初期の作品が好きやねえ。その空気が描かれているのは、山崎さん自身が育った環境がそのまま描かれているかららしい。落語などに出てくる大店(おおだな)とはまた違う。松竹新喜劇で誇張されて描かれているものとも違う。ほんまもんの大阪の商家の空気やないかと思う。
 今日、産経新聞で広報委員の方が、山崎さんのことについて触れていた。新聞社というたら、昔は男の職場やったという。そんな時代に毎日新聞社の記者として働いていた山崎さんというのはよくよくすごい方やったんやなあと、新聞社見学で感じさせられた次第。
 謹んで哀悼の意を表します。

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