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フランケンシュタインも怪物も [SF]

 本日は期末考査と合格発表。いろいろあって採点になかなか気が入っていかれんのですが、なんとかテストだけでも採点終了。まだまだ提出物チェックなどやらねばならんことはある。午後は合格発表。合格者の受験番号を貼りだす係をする。午後2時ちょうどに公開するのでありますが、直前にかかってくる受験生からの圧力に、いつものことながら押されてしまいますね。悲喜こもごもの様子はこれもいつものことながらなんとも言われんね。合格した生徒さんたちにはおめでとうの言葉を、不合格やった生徒さんたちには後期日程の入試がんばりやと、心の中でつぶやく。
 定時に退出し、京都へ。いつも土曜日に行く月例の医者通いなのですが、今週は土曜出勤で代休も後日に取ることになるため、診療終了すれすれになるけれどこの時間にしか行かれんのです。仕事帰りの人たちが多いから、往復立ったままかなあと思うていたら、往路は途中から座れた。復路は座れず。医者の待合と電車の中で「フランケンシュタイン」を読了。
 何十年かぶりに読んだら、まったく読後感が違うていた。人間のエゴというものをこれでもかこれでもかと叩きつけてきて、フランケンシュタインにも怪物にもその他の登場人物にも全く感情移入でけん。ここまで感情移入を拒否する小説もないんやないか。フランケンシュタインが勝手な奴やというのはわかっていたけれど、怪物も同情すべき部分は多々あれど、復讐と称してフランケンシュタインの身内をどんどん殺していくのはやり過ぎやろうと思う。しかも、復讐のカタルシスを怪物自身も感じてへんというところがなんともやり切れん。
 どこまでも人間の虚無的な部分を突き詰めていく。フランス革命の頃に書かれた小説やけれど、王政にも革命政府にも希望がもたれへん、何も信じられんというような心境が背景にあったんやろうかねえ。
 読後に残る空虚な感じこそが、この小説の凄みであるように感じられたのでありました。科学文明に対する風刺なんて紋切り型の評ではすまされん重苦しさ、それがこの小説の本領なのでありましょう。疲れ切って何もでけんなんて時に読む小説やなかったなあ。

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