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小松左京讃 [SF]

 明日は入試本番。今日は最終の準備作業に終始。というか、準備作業が一区切りつき、次の作業に移るまでの間、仕事部屋に戻ってぐったりと動けず。自分が鼻声なのが自分でわかる。目はしょぼしょぼするし、背中は張るし。こらあかん。帰宅して体温を計ると、少しばかり平熱より高い。発熱しているというほどやないけれど、この程度の体温上昇やと無理したら動けてしまうから始末が悪い。何度か間をおいて計る。じわりじわりと上がっている。インフルエンザやないとは思うんやけれど。明日は通常よりも30分ほど早く家を出る予定なんで、早寝せねば。
 往復の電車で、日下三蔵・編「日本SF傑作選 2 小松左京」(ハヤカワ文庫JA)を読み、後わずかというところで最寄駅についたんで、帰宅して読了。「地には平和を」「時の顔」「紙か髪か」「物体O」「神への長い道」「継ぐのは誰か」などを収録。ほとんどが再読やけれど、細かいところはだいぶ記憶が薄れているなあ。
 先日読んだ筒井康隆さんと比較するような読み方になった。例えば「物体O」。筒井さんなら巨大な物体が日本を分断したら、そこで大慌てしてぐちゃぐちゃになっていく人物群像を戯画化するやろう。眉村卓さんならば、物体の被害にあった地域の最前線で苦闘する人物に焦点を当てるかもしれん。では小松さんはどうしているか。
 分断された日本を俯瞰し、その影響や事態収束を図る人々の姿をシミュレートするのですね。さらに、なぜそんな物体が出現したかについての考察なんかもやってみせる。
 日本SF初期に、これだけ個性の強い面々が群雄割拠のごとく登場したことに感謝せねばならん。星新一さん、光瀬龍さん、半村良さんなどほんまに多士済々というほかない。
 解説で日下さんが書いてはるけれど、小松さんという「SFそのもの」を書く芯となる人がいてたから、これだけバラエティに富んだメンバーが独自の世界を広げていけたというのは間違いないことですね。
 小松さんは「知の巨人」と呼ばれるけれど、それだけやないと思う。本書には「紙か髪か」くらいしか収録されてへんけれど、関西人らしいサービス精神に富んだ笑いも提供できるし、文学畑の出らしく詩情豊かな描写にもたけている。こうやって選ばれた作品を読むと、その視点のシニカルさを強く感じた。小松さんは未来にどのような「希望」を見てはったんやろうか。
 あ、そうか。いきなり小松さんの傑作選なんて読んだもんやから、私、知恵熱を出しているのかも。読んでる間、脳みそフル回転でしたもんねえ。

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