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天平の女帝 [読書全般]

 今日も汗だくでお仕事。遅れて持ってこられた書類をまとめて郵送したり、来週の授業準備をしたり、面接練習をしたり。定時に退散。
 帰路、妻との連絡にLINEを使用。スタンプを使おうと思うたけれどやり方がようわからんので、テキストを送信。帰宅してから妻を目の前にしてスタンプの送り合いをする。50代半ばでのスマホデビューやからね。なかなか思うようにはいかんもんですなあ。
 もっともLINEで連絡を取り合う相手は妻か友人Y氏くらいしかいてへんのですけどね。
 夜はナイター中継を見る。まあ、つまりなんです、タイガースは3連敗。先発投手のやりくりに困っている相手が出してきた谷間の投手にやられてるんやから、どうなってるんだか。
 玉岡かおる「天平の女帝 孝謙称徳 皇王の遺し文」(新潮文庫)読了。歴史書では奈良時代末期に道鏡とともに政治を乱したとされる孝謙天皇(重祚して称徳天皇)と、道鏡の帝位を阻止した女官和気広虫を主人公にした物語。物語は女帝の崩御で追放されていた広虫が許されて都に戻るところから始まる。実は広虫は女帝の最大の理解者で、その死後に藤原永手、藤原百川らによって女帝の目指した男女ともに活躍できる朝廷という理想が崩されていく様子が描かれる。女帝は広虫の回想として登場し、その治世がどのようなものだったかが語られる。
 通説を覆し、現代に通じる男女平等の社会を作ろうとした女帝の孤独、そして歴史の流れに押し流されながら自立した生き方を進む女官たちの姿が生き生きと描かれる。女帝の理想があまりにも現代風なのには違和感を覚えなくもないけれど、奈良時代という権謀術数の時代を描き切っているところに意義があると思う。特に女帝と道鏡の関係、和気広虫と清麻呂の姉弟の関係や、都に住む隼人たちの描写などは、おそらくこれまでにはない視点からなされたもので、男性社会に呑みこまれつつもそれにあらがう姿に悲壮感はなく、常に前向きというあたり、非常に面白かった。ドラマや映画のモチーフになることのあまりない時代だけにとっつきにくい人もいてると思うけれど、実は奈良時代は非常にドラマチックなので、もっとこの時代を舞台にした小説が書かれたらええのになあと思うた次第。

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