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エンジェルメイカー [読書全般]

 入試準備業務に一日中追われている感じ。もっともチーフの先生は毎日残業につぐ残業、休日出勤も当たり前という状態ですからね。贅沢は言うておれん。とはいえ奨学金のお仕事もちょこっと入ってきたりして、落ち着かんこと限りなし。
 定時に退出。帰宅してからはビデオを見たり読書したり。
 ニック・ハーカウェイ/黒原敏行・訳「エンジェルメイカー 上・中・下」(ハヤカワ文庫NV)読了。3冊一気読み、とは言いつつも親本の「ハヤカワミステリ」では、これは1冊やったそうやから、早川書房も無茶をしますねえ。上巻はかなり癖のある話の進め方でなかなかその世界はいりこめなんだけれど、上巻の終わりごろからやっとなじんできて、あとはすんなりと読めた。主人公のジョーは機械職人。ただし父親はギャング。母親は父の死後は修道尼。ある「本」の修理を依頼されるけれど、そのために世界が滅亡するかもしれないという騒動に巻きこまれる。もう一人の主人公はイーディーという名の老婆。実は先の大戦ではスパイとしてインドの藩王シェム・シェム・ツェインと長年死闘を続けてきた女傑。この3人の運命が交差し、最後は地球の命運をかけた戦いに。ミステリ、やない。冒険小説的要素が強いけれど、けったいな人物が次から次へと登場し、どたばたとからみあう。マッドサイエンティストの発明がこの戦いの原因となり、その装置を破壊することが最終目的になるあたりSF的といえるかもしれんけれど、SFやない。SF的な設定を小道具に使うているというだけですからね。ただ、見かけはちょっと筒井康隆みたいな感じがしないでもないけれど、イギリス人のギャグセンスは筒井作品とはかなり違う。
 おもしろくないわけやないけれど、なんだかから騒ぎをしてるだけというようにも感じられて、私が期待していたものとはちょっと違うたかな。上巻の帯の惹句「世界の危機を救うのはしがない職人と謎の老女!?」にひっかかったなあ。裏表紙のストーリー紹介にある「ジャンルを超えて熱狂的に評価された傑作サスペンスにしてエンターテイメント!」というあおりにもひっかかったか。とっちらかったごった煮がお好きな方にはお薦めするけれど、ミステリやSFの妙味を期待した私のような読み手には今ひとつそのおもしろさが伝わってきませんでした。題材は悪くないんやから、料理の仕方でだいぶ変わったと思うけれど、杉江松恋さんの解説ではデビュー作はこれよりもとっちらかってるようなんで、そういう書き方しかでけん作家なのかもしれんね。

 2月17日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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