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奇妙な味 [読書全般]

 朝から雨。出勤前に血圧を計るといつもよりかなり低い。低気圧の影響やろうか。ぼーっとしつつ、出勤。大掃除の監督、教科の成績会議、新入生向け資料の袋詰めなど共同作業が比較的多かった。退勤時には雨も上がり、明日の卒業式は晴れの予報。未提出やった奨学金関係の書類をやっと持ってきた生徒もいて、育英会に送付してやれやれと一息。帰宅してからはだらだらごろごろと過ごす。
 江戸川乱歩・編「世界推理短編傑作集」(創元推理文庫)読了。新版も残り2冊。本巻では本格推理よりも「奇妙な味」と乱歩が呼んだ作品に強烈なものが目立つ。ダンセイニ「二壜のソース」、ウォルポール「銀の仮面」がそれ。どちらもあえて結末まではっきりと書かず、途中で切って後は読み手の想像にまかせているところに特徴がある。むろん、結末はどう転んでも一つしかないんやけれど、そこをあえて読み手にゆだねるから読後にぞくりとくるのですね。サスペンスタッチのものも面白い。特にコップ「信・望・愛」は脱獄囚の皮肉な末路が読んでいて途中でわかるんやけれどもそこにもっていく過程で読ませる。セイヤーズの「疑惑」の主人公が追いつめられていく心理描写もよろしいね。もちろん本格ミステリの切れ味のよいのも傑作揃い。特にノックスの「密室の行者」のトリックは大胆不敵でよろしいねえ。
 というわけで、さすが乱歩先生、アンソロジーとしてバランスの良い作品選択をしてますねえ。配列は発表順になっているけれど、同系列の作品が続くということもなく、読み手としても飽きがこない。本書やないと読まれへんものもあるんやろうし、私のような古典ミステリ再入門者にもありがたいシリーズ。あと1冊で終わるのはもったいないねえ。

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