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福家警部補の挨拶 [読書全般]

 入試業務もあとは合格発表を残すくらいになった。さて、次は在校生の進級判定や。ほんまに年度末は忙しい。その合間を縫うて私の業務の年度末総括をまとめたり、あれこれと事務作業がございます。目はかゆいしくしゃみは出るし。さっきまでしゃっくりに悩まされてたし。週明けからしんどいことでございます。
 昨日刑事コロンボを見たからというわけやないけれど、倒叙推理物が読みたくなって、大倉崇裕「福家警部補の挨拶」(創元推理文庫)を読了。刑事コロンボのノヴェライゼーションも手掛けたという著者が、和製女子刑事コロンボを意識して想像したのが福家警部補。コロンボもほんまは警部補ですからね。徹底しております。ずいぶん前に永作博美さんが主演のドラマ「オッカムの剃刀」を見たことがあって、年齢不詳で刑事に見てもらわれへんというところが福家警部補にぴったりの配役やったと思うけれど、なぜかNHKはシリーズ化せなんだのですよねえ。民放の方は見てません。図書館館長が図書館を売り払おうとするオーナーを殺す「最後の一冊」、復顔の名人やった元警察官が大学の准教授を殺す「オッカムの剃刀」、ベテラン女優がライバル女優を葬る「愛情のシナリオ」、酒造会社の社長が敵対的買収を仕掛ける同業者を殺す「月の雫」の4編とも、刑事コロンボをきっちりと踏襲した倒叙推理。読みながら、あんたも好きねえと思わずにやついてしもうた。倒叙推理の場合、いかに犯人がぼろを出すかという点にかかってくる。そちらも刑事コロンボといっしょでほんまにささいなミスを福家警部補は見逃さん。コロンボそのままやんかと思わんでもないけれど、著者は自分もコロンボを書きたくて福家警部補を創造したんやから、そこをつっこんでも動じないというか、かえって喜ぶんやないやろうか。わりと軽めでつるつると読めてしまうのがちょっと物足りなくは思うけれど、続巻以降が楽しみなシリーズであります。

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