天狗風

　今日から入試の採点業務。くわしいことは書くわけにはいかんけれど、とにかく１日中答案に向かう。さすがに集中力が続かんので時折休憩をはさむ。明日もこんな感じか。金曜までこんなのが続くのか。ぶっ倒れてしまわんようにせんといかんな。
　帰宅後、帰りの車中で読んでいた本を最後まで読んでしまい、それから相撲中継の録画を見る。霧島は阿炎に敗れて３連敗。途中休場なんてことのないことを祈る。
　宮部みゆき「天狗風　霊験お初捕物控」（講談社文庫）読了。若い娘たちが神隠しにあう事件が起こり、お初は恐ろしい力を持ったものと遭遇する。娘たちを救うため、お初は右京之介たちとともに捜索を始める。夢の中に現れた観音菩薩のような姿をしたもののけが神隠しの犯人であるようだが、お初一人の力ではとても太刀打ちできない。さらに、阿片の密売事件などにも巻き込まれ……という話。妖怪譚と本格ミステリがもののみごとにブレンドされた傑作。前作ではほとんど姿を見せなかった「御前様」の存在や、頼りになる相棒になってきた右京之介との関係など、このままシリーズが続いてほしいのだけれど、残念ながら続刊はなし。それでも作者は新しいシリーズをかき始めたりしているわけやから、特定の主人公だけをかき続けるよりも、あれもこれも書きたいという創作意欲が旺盛なんやろうな。この２作だけではとても食い足りない。ぜひ、新作をかいてもらいたいと思わせる魅力的なシリーズ。ただ、本巻みたいな傑作を書いてしまうと、それ以上のものが書きづらくなってしまうということもあったのかもしれん。あるいは本巻でもう満足してしもうたか。伝奇的な要素をミステリ趣味で展開できる優れた書き手はそうそういない。こうなると長期シリーズの百物語に手を出さざるを得ないんかなあ。

　３月１７日は「たちよみの会」の予定日ですが、仕事の都合でお休みします。こればかりはどうにもならんので、４月２１日にお会いできるのを楽しみにしております。