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やしきたかじんの死 [追悼]

 今日から生徒たちも登校し、学校ににぎわいが戻る。私はまだ体力が仕事モードに戻ってへんのか、午後からはちょっとしんどくなってきた。明日から開始の授業の教材研究にいそしむ。
 今朝の関西のスポーツ紙の一面はすべて歌手やしきたかじんさんの訃報。享年64。死因は食道癌。
 いわゆる「関西の視聴率男」になってからのたかじんさんには、私はほとんど興味が持てなんだ。私が初めてその名を知ったのは高校受験のために深夜ラジオをつけながら勉強していたころで、35年前くらいになるか。当時、KBS京都ラジオで午後11時から「日本列島ズバリリクエスト(略称ズバリク)」という番組を放送していて、たかじんさんは水曜日のパーソナリティやった。ちなみに月曜尾崎千秋、火曜桂文珍、木曜オール阪神巨人、金曜きたむらけん、土曜諸口あきらというラインナップでした。ああなつかしい。
 水曜の11時になると、グレンミラー楽団の「イン・ザ・ムード」のイントロが流れ、それに合わせてたかじんさんがしゃべりだす。桜田淳子のファンで、あまり売れてへんのを自虐的に売り物にし、リスナーからのハガキは彼を親しみをこめて「あほじん」と読んでいた。のちの言いたい放題のキャラクターやなく、しわがれた声とは対照的に、いささか含羞を帯びたトークに特徴があった。ほどなくして「ズバリク」は「ハイヤング11」と名を変え、たかじんさんの出番はなくなったと思う。
 しばらくして、劇場版「機動戦士ガンダム」の主題歌を歌うたかじんさんの姿をテレビ「ザ・ベストテン」の「今週のスポットライト」で見た。ああ、東京に行ったんや、と思うていた。ただ、たかじんさんはアニメの主題歌を歌って注目をされたことは本意やなかったらしく、それについては語りたがらなんだはず。
 そのあと大阪に戻り、本音をズバズバと傍若無人に語るキャラクターとして「たかじんnoばぁ~」で一気に「視聴率男」となり、以降の快進撃は関西在住の方ならご存知の通り。
 そやけど、私は「ズバリク」時代の「あほじん」の印象が強すぎて、現在のたかじんさんには何かしらなじめないものをずっと感じていた。橋下徹の府知事立候補の後押しをしたり、政治家とからんだりするようになって、大阪のテレビ局で大きな影響力を持つ怪物になってしもうた時、私の興味からたかじんさんは完全に消え去った。
 今でも私は「ズバリク」時代の「あほじん」が素顔のたかじんさんやと思うているし、今朝の新聞記事を読んだりしていると、細やかな気遣いをしていたエピソードなどが披露されていて、やっぱり素顔はあの時の「あほじん」やったんやなあと思うた。
 無理をしていたかどうかはわからんけれど、自分が作りだした「たかじん」というキャラクターを維持するのにものすごくエネルギーを使うてはったんやないかと推測する。そやから、私は自分も35年前に戻り、こう声をかけたい。「さよなら、あほじん」。
 謹んで哀悼の意を表します。

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