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船場人情ドラマを再び [演芸]

 今日は授業で松竹新喜劇「大阪ぎらい物語」を生徒に見せる。藤山寛美十八番のひとつで、船場の老舗のアホボンがのれんにこだわる母親に逆らい、人力車の車夫になり、ついには正論で母親のかたくなな態度をやりこめるという、松竹新喜劇ならではの典型的な人情喜劇であります。正直、この説教臭さは今の若者には退屈なんやないかと思うんやけれど、まず寛美の芝居など今まで見たこともない世代に、こういう喜劇が一世を風靡したんやということを知ってほしいのと、藤山寛美のアホボン芸の凄さを一度でいいから見ておいてほしいという思いで、毎年必ず見せることにしているのです。
 で、生徒たちの反応はそれぞれであるけれど、大阪で「新喜劇」というたら吉本しか知らん世代には存外新鮮に映るらしい。
 驚いたのは、知的障碍生徒の補助で授業に参加している若い女性の先生が(もちろん寛美の芝居を見るのは初めて)、「2か所ほどうるっときました」と素直にこのベタな人情喜劇を受け止めていたこと。
 そういえば、お涙ちょうだいのドラマというたら、不治の病に冒された少女、いじめに耐える少年てなところが昨今のお約束やったりして、体面にとらわれた大人に対して無垢なアホボンが本音をぶつけて難関を突破するなんていうものはないよねえ。
 ということは、例えば花登筺の「あかんたれ」やの「ぬかるみの女」やの「どてらい奴」やのを台本そのままにリメイクしてプライムタイムで放送したら、意外と数字をとるかもしれんぞ。もっとも、現場で企画するテレビ局の人たちが、こういう古い「船場人情ドラマ」そのものを知らんという可能性はあるわけやけれど。
 意外とこれ、いけるかもしれませんぞ。テレビ局関係の方がこんな日記を読んではるかどうかわからんけれど、いっぺんやったみはったらどないでしょうか。

 1月20日(日)は「たちよみの会」例会です。今月は新年会を予定しております。多数のご参加をお待ちしています。