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常盤新平の死 [追悼]

 翻訳家、コラムニスト、作家の常盤新平さんの訃報に接する。享年81。死因は肺炎。
 直木賞作家としてよりも、アメリカ文化の紹介者としての印象が強く残っている。私のお気に入りは「アメリカンジャズエイジ」で、これは若い頃むさぼるように読んだ。おかげで一時は1920年代のアメリカ大衆文化にやたら詳しくなったような気がしたものです。実際、教員として世界史を教えた時に、このころに仕込んだ知識の記憶が役に立ったりしたものね。
 翻訳ではフィリップ・ロス「素晴らしいアメリカ野球」(中野好夫さんと共訳)あたりを面白く読んだ。あと、常盤さんの名前を覚えたのは確か子ども向けに出版されたミステリやSFの翻訳やなかったかな。かつて早川書房で編集者もしてはったから、そういう読者の裾野を広げる仕事もやってはったんやろうね。
 決して派手な存在というわけやなかったけれど、センスの良い文体でアメリカ文化の魅力を教えてくれた、それが私にとっての常盤新平さんという存在やった。うん、そういえば雑文を書くときに常盤さんのコラムみたいな書き方をしたいと思うたりして試してみたけど、これはもうセンスが違い過ぎて私なんかではとうてい真似でけんかっこよさやったなあ。ああいうタイプの文章を書ける人は、そういてへんかったんと違うかしらん。
 謹んで哀悼の意を表します。

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