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ピクニック・アット・ハンギングロック [読書全般]

 歳をとるといろいろと体にガタがくるものでございます。実はずっと以前から妻に「寝ている時によく呼吸が止まっている」と指摘され、それでもそのままほっといたんやけれど、血圧がかなり高くなってきていたり睡眠負債をひどく感じるようになってきたので、先々週から最寄り駅と自宅の間にある医院に行って検査をしてもろうたりなんかしていたのです。
 はっきりと「睡眠時無呼吸症候群」やと診断され、さらに血圧も下げんならんと言われ、妻に頼んで家庭用の血圧計を買うてきてもろうたり、お医者の先生からは血圧を下げる薬を処方してもろうたり。そして今晩からは睡眠時に呼吸が止まらんようにする器具を借りて本格的に治療が始まることになりました。入院せんでも毎晩鼻に空気を送りこむ機械を自宅で装着したらええだけなのはありがたい。どれだけの効き目があるかはわからんけれど、これでちょっとでも疲れがたまらんようになってくれたらありがたい。
 帰宅して相撲を見る。栃ノ心に続いて鶴竜も休場。今場所の主役は白鵬か、あるいは貴景勝や阿武咲ら伸び盛りの若手たちか。いよいよ世代交代の時期が来たんやなあと思いつつ、早く宇良や炎鵬、照強、翔猿らが幕内で活躍してくれんかなあなどと思いながらテレビを注視しております。
 ジョーン・リンジー/井上里・訳「ピクニック・アット・ハンギングロック」(創元推理文庫)読了。映画は見てへんのやけれど、東京創元社のサイトで紹介されてるのを見てものすごく読みたくなった。1900年ごろのオーストラリアの寄宿制の女学校が舞台。ハンギングロックという巨石のあるキャンプ場へピクニックに行った少女たち4名とと引率の教師1名が行方不明になってしまう。やがて一人は若いイギリス貴族に発見されるけれど失踪時の記憶が失われている。そして、この事件を機に女学校やその関係者たちの間に様々なほころびが生じはじめ……。
 謎めいた失踪事件はきっかけに過ぎず、物語の中心はその影響で変化していく人間関係にある。特に老齢の学院長が押しつぶされていく様は胸が締めつけられるほど。あとがきに当時の編集者によってカットされた最終章も一応訳載されているんやけれど、確かにこれは不要やったね。すべての謎は崖の彼方、それでええのです。ミステリ小説やなく、どちらかというとホラー小説に近いんやけれど、ミステリ風に展開されていくから面白い。映画の方も見たくなってきた。いずれ機会を見つけてDVDを借りることにしよう。もしBSで放送されるようなことがあれば忘れずに録画しよう。すべてがはっきりしないまま運命を狂わされていく人々の姿に、人間の弱さ、強さその他もろもろが描きだされていく。怖いもの見たさにページをめくらされる、そんな感じの小説です。原著が刊行されたのは1967年。なんとこれが本邦初訳。なんで今まで訳されてこなんだのか、それもまた謎ですわ。

 1月20日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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