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橋本治の死 [追悼]

 朝、朝刊に大きく 、作家 橋本治さんの訃報が。享年70。死因は肺炎。
 私は自分の考え方の物差しとしてその新刊書が出ると読むようにしている人たちが何人かいて、橋本さんはその中のお一人やった。他には内田樹さんや森達也さんなどの時評を読んで、自分の思考が世間に流されてしもうてへんかを確かめるようにしているのです。
 特に橋本さんの場合は、非常にニュートラルというのか、ちょっと立ち止まって考えてみようよというような感じで書かれているので、私の読むペースにぴったりと合うていたのですね。
 一番参考になったのは「上司は思いつきでものを言う」(集英社新書)に書かれていたことで、思いつきでものを言うような上司に対してはどうすればいいかというところ。
 橋本さんは書く。「あきれることしかできないのです」と。「あきれる」ということもそれが相手に伝われば、直接行動に移すよりも効果的かもしれんなあと、そんなことを考えながら読んだのを覚えている。
 小説のほうは熱心な読者というわけにはいかなんだけれど、ほんまは時間をたっぷり取って「双調 平家物語」を読んでみたいと思うたりもしていた。
 権力を持った者が専門でもないことに着いて思いつきでものを言い、それが大きな社会問題に発展していく。大阪市長が全国学力テストの成績の悪い学校の校長に対して減給するなんて、ほんまにあきれるしかないことが起こるご時世なんやから。
 橋本さんという物差しを失うたのは、私にとってはほんまに大きな損失ですわ。またいろいろと本を読みながら、新たな物差しとなってくれる人を見つけなあかんなあ。
 謹んで哀悼の意を表します。

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