SSブログ

一発屋芸人列伝 [読書全般]

 朝から寒い。冷える。お山の学校は下界よりも標高が高く、1~2℃くらい低い。
 マスクをしていて困るのは、マスクから漏れた呼気が眼鏡にかかり、レンズが曇って前が見えんようになることですな。仕方なく眼鏡を外すと、極度の近眼に乱視なんで、目に入るものすべてがぼけてしまい、正直怖い。で、曇りをふき取った眼鏡をかけると、またすぐ曇る。気温が低いんで、ちょっとの蒸気でも結露するんやね。
 外を歩いている時は、特に朝はまだ暗く人影もまばらなんで、マスクを外して駅前まで行くことにした。すると、口のまわりが冷えて寒さが増すのです。教え子からいただいた布マスクにしても、ユニクロのクーポンで入手したエアリズムマスクにしても、冷気から顔を保護してくれているんやね。帰りも同様。急に冷えこんで、わざわざ寒いところまで行くのもかなんし、新型コロナウィルス感染のリスクも高いし。
 もう少し近いところに転勤したいと、通勤しながら毎日思うてしまうのです。
 午前中は授業と会議準備。午後は会議につぐ会議。うち一つは私がいないとどうしようもないもの。空き時間はたっぷりあったはずなのに、定時を過ぎても明日の授業で返却するプリントのチェックが終わらん。それでもなんとか最短時間で終わらせ、残業とも言えんくらいですんだのはすごいと、何を自画自賛しているやら。下界に降りても風は強く冷たい。明日もコロナストレスを抱えながら通勤か。
 山田ルイ53世「一発屋芸人列伝」(新潮文庫)読了。親本発売時に話題になっていたけれど、文庫化まで待ったかいがあった。世にいう「一発屋」のもとをやはり「一発屋」を自認する漫才コンビ髭男爵の山田ルイ53世が訪れて、インタビューしたものを本人がまとめ直したもの。芸人になるというのは、やはり「業」なんやなあと思わずにはいられん。「あの人は今」的なとりあげられ方をされる人たちの「頂点」と現在の着地点を独特の筆致で描き出す。芸人が芸人の評伝を書く。このこと自体ものすごく勇気のいるものやったんやないか。これは自分の芸人としての立ち位置を問われる行為でもある。突き放すでもなく、しかし感傷に流されるでもない、微妙な立ち位置を保持して書かれたのが本書やと思う。親本出版時に「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受けたというのもようわかる。書評家が小説を書くこととちょっと似ているかもしれん。お話ならめでたしめでたしで終わるところだが、人生には「その後」が必ずある。本書にはさまざまな「その後」が綴られている。芸人たちが試行錯誤して生み出した「笑い」があっという間に消費され、「消えた」などといわれてしまう、その残酷さと気まぐれさ。本書からは芸人の生き方だけやなく、彼らをもてあそぶように持ちあげて捨てていく「人気」というものの得体の知れないもののすがたも浮かび上がってくるように、私には読めた。外部の人間であるライターにはとても書けん「業」の深さが本書にはつまっている。

 12月20日(日)は、「たちよみの会」例会です。新型コロナウィルス感染症対策をした上で、多数のご参加をお待ちしています。第3波が来ているので、例会は13:00~14:30に短縮いたします。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ: