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クララ殺し [読書全般]

 今日は午前中から実家に帰り、葬儀屋の応対などをする。妹たちは車であちこち移動し諸手続きをする。夕刻、急を要する手続きはほとんどすませたので帰宅。まだまだやることはあるけれど、四十九日が過ぎてからでもよいというようなものもあるので、明日は私は特に用はなし。帰路の車中でどっと疲れが出る。
 帰宅後、録画した相撲中継を見る。鶴竜と貴景勝に土がつく。なんとなく全体に相撲が淡白に見えるのは、無観客に力士が慣れへんせいなんやろうな。
 小林泰三「クララ殺し」(創元推理文庫)読了。「アリス殺し」の続編。ただし、殺人事件そのものは新たなもの。前作に登場した井森=ビルが、不思議の国から今度は「ホフマン空間」に移動し、別な事件に巻きこまれる。本書はホフマンの「くるみ割り人形」などを下敷きにしており、現実世界と重なる異世界も前作のような狂騒的なものではなく、二通りの殺人事件が並行して行われるという趣向。興味の中心はそれぞれの世界のアーヴァタールがどの人物のものなのかというところに置かれることになる。
 ホフマンの複数の作品をカバーしているため、前作よりもストーリーの構成は入り組んだものになっているけれど、ホフマンの作品を読んでいなくても純粋に二重世界の事件の謎解きを楽しむことができる。ただ、やはり前作の印象が強烈やっただけに、本書はちょっと地味な感じがする。そのかわり、徳さんや新藤礼都など他の作品でおなじみの人物たちが登場して重要な役割を果たすので、小林作品のファンにはこたえられん趣向になっている。それにしても二重世界の事件という世界観を続けて作れるあたりがさすが小林さん。これはなかなか難しいことやないかと思うけれど、きっちりとかたをつけている。「アリス殺し」が気にいった方は本書も楽しめるはず。前作についていかれなんだ方には無理にお薦めはしません。読者を選ぶシリーズといえるやろう。私はこういう飛躍したロジックは大好きですね。

 3月15日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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