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カラヴァッジョ《聖マタイの召命》 [読書全般]

 忌引き休業も本日が最終日。妹たちは実家でまだ諸手続きをしてくれているけれど、私はお休みしていいというので、自宅で過ごす。正直、緊張の糸が切れたようになっていたり、なにか不安感があったりと精神的にきついので、この休みはありがたい。すぐに日常には戻られんので、必要な休日と言うべきか。
 午前中は少しばかり録画した深夜アニメを見てから、昨日あずかってきた書類の記入捺印などをする。明日の朝一番でポストに投函する予定。ちょっとだけでもお仕事は言いつかっているのです。
 昼食後は午睡。思ったよりも早めに起き、録画した相撲中継を追っかけ再生で見たり、読書をしたり。夕食後は妻と録画した番組を見てからパソコンに向かう。さて、明日から仕事復帰。少しばかり仕事がたまっているようなので、そこから手をつけるか。ちゃんと日常生活に戻れるのかも不安感の種か。
 宮下規久朗「一枚の絵で学ぶ美術史 カラヴァッジョ《聖マタイの召命》」(ちくまプリマー新書)読了。宗教改革後にリアルなタッチで教会に飾られる聖人画を描いたカラヴァッジョの名作「聖マタイの召命」を中心に、ヨーロッパの絵画の変遷をたどる。著者はカラヴァッジョ研究の第一人者で、中世ヨーロッパの美術史の専門家。中高生対象の新書とはいえ、特に聖書に関する知識がないとわかりにくいという毎度歯ごたえのある新書ですね。大人向けの新書の方がよほどすらすら読めて中身がなかったりする。本書ではカラヴァッジョの光の使い方に着目。彼の用いる光の表現が示すものと、マタイやパウロら描かれている聖人たちの表情からにじみ出る内面の描写など、その後に輩出する画家たちに与えた影響の大きさを、多くの図版を使用して解説してくれる。中世から近世に転換していく社会背景もここには関わってくるのだろう。そのあたりはマックス・ウェーバーをひきながら当時の宗教改革がもたらしてものなどとからめて示してくれるので、説得力がある。カラヴァッジョの絵は、図版だけでは光の角度などが不自然だったりどこに力点を置いた構図なのかわかりにくかったりするのだが、著者は実際にそれらが飾られている教会で見ることを推奨する。教会の窓からさす光や、教会の中で見上げる視点が計算されているのだという。カラヴァッジョに関してはあまりよく知らなんだんやけれど、がぜん興味がわいてきた。中高生だけやなく、大人でも読み応えのある入門書であります。

 3月15日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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