千代の富士の死

　大相撲の元横綱千代の富士の九重親方の訃報に接する。享年６１。死因は膵臓癌。
　大横綱、かと言われると、私は言葉に詰まってしまう。それよりも異能横綱と呼びたい。大きな相撲ばかり取って脱臼癖が治らなかったのを、肩に筋肉をつけることによって防ぎ、前褌を取って寄る正攻法を身につけ、一気に横綱に駆けあがった。ただ、開花したのは遅く、残した記録のほとんどが３０代やったというのも他の大横綱とは違うところ。
　実は、私は千代の富士の上手投げ「ウルフスペシャル」が最後まで好きになれなんだ。相手の頭を押さえつけて強引に土俵に叩きつける投げは、美しくなかった。同時期の二代目若乃花の相手の足が弧を描くようにして宙を舞う、あの上手投げの美しさにはとてもかなわない。土俵際に逆転勝ちした時に両手を広げてセーフのポーズを取るのも見てて気持ちのいいもんやなかった。逆鉾がガッツポーズをして審判に注意されたのに、千代の富士のセーフはええんかと憤慨したもんです。
　ただ、その強さはほんまもんやった。双羽黒、大乃国、旭富士、小錦、霧島……次代を背負う者たちを次々と跳ねのけていった。そのため、千代の富士が引退したあと、次の世代の力士たちは目標を見失ったように力を落として早く引退していった（双羽黒だけは別やけど）。
　現役当時から、星を買っているという噂はよく飛んでいた。そのせいか、引退後の教会での立ち位置は微妙で、理事選挙に落選するなど人望のなさがあらわになったのは、現役時代の華やかさを知る相撲ファンとしては複雑な思いやった。
　ただ、千代の富士時代は、千代の富士に対抗する力士たちがそれぞれに個性的で強かった。これがのちの朝青龍や白鵬の時代とは違うところ。土俵の面白さという点では、今よりもずっと上やったと思う。そして、その中心には必ずウルフがいた。
　そして、貴花田に敗れ時代交代を劇的に演出しながらすぱっと引退した潔さ。引退会見の「体力の限界っ……」とつまって涙をふき、「気力もなくなり……」と淡々と続けた、あれもまた相撲史に残る名シーンやったと思う。
　謹んで哀悼の意を表します。

中年女性の視線

　今日からしばらく休み。思い切って長期休暇をとりました。
　とはいえ、今日は定例の京都の医者行き。朝のうちに深夜アニメを見て、昼前に出発。診療してもらうと、とんぼ返りで帰宅。幸い帰路の特急には座れたので、乗り換えの駅まで爆睡。眠りに落ちて一瞬のうちに乗り換え駅に着いていた。
　最寄駅に着いた時にはもうへろへろ。よたよたと帰宅してすぐに午睡。夕刻に起きてきてプロ野球中継を見る。
　緊張の糸が切れて疲れがどっと出たという感じやね。明日は特に予定なし。ひたすら寝ることにしよう。この４ヶ月、奨学金業務と毎週末の出張でどんなにしんどくても休まれへん日々が続いたから、ほんまに休ませたらんと体が悲鳴をあげてますねん。
　ところで、帰りの地下鉄で私のことをじーっと嫌そうな目で見ていた中年女性、あれはなんやったんや。知った顔でもなかったし。誰かほかの人と間違えられてたんかなあ。

四半世紀のタイムラグ

　出勤したら、大正区役所から資料が届いていた。秋に行う授業で「大阪の中の沖縄」をテーマにフィールドワークをさせたりするので、区役所の方とコンタクトを取って、準備をしているのであります。
　暑い中、扇風機にあたりながらパンフレットを熟読する。
　私は四半世紀も前に、大正区にある学習塾に２年間勤めていたことがあるのです。人間関係、そして仕事のやりがいなどから職を辞して、学校の講師を勤めつつものかきをして、作家になって……というつもりをしていたのですが、まあそれはよろしい。
　２年間、大正区のことなんか何も知らんまま去って行ったんやなあ、と、改めて実感。京都の自宅から阪急で梅田まで出て、国鉄大阪環状線（在勤中にＪＲになった）で大正駅に行き、バスで泉尾にある教室で授業。仕事が終わったら近くのラーメン屋で毎日キムチチャーハンの夕食をとり、阪急の最終急行で帰宅。毎日その繰り返しで、職場の近隣を見てまわったりなんていう余裕はなかったね。
　はてさて、生徒たちにはこの資料をどう活用させようか。８月に入ってから、一度下見に行こうと思う。四半世紀には全く見えなかったものが見えるに違いない。そして、バブル崩壊とともに倒産してしもうたかつての職場の近辺がどうなっているのか。そういうのも見てみたい。
　四半世紀は長いです。市役所の方に私のかつての勤務していた塾の名を言うても、知らはらへんだもんなあ。「泉尾ゼミナール」から「関西予備校」となり、一時はビルを建てたりもしたんやけれど。あの頃教えていた小学生たちは今は３０代半ばか。もし道ですれ違うてもお互いわからんやろうねえ。

研修で里心

　今日は府立人権教育研究会の夏季セミナー。会場は前任校。３０分で会場に到着。早い!私が毎日通勤に費やす労力ときたら……。というわけで、朝はいつもよりもゆっくり起きてのんびりと朝食。人間、余裕のないのはいかんねえ。
　もっとも、前任校に行くと、里心がついてしまうので、極力寄りつかんようにしているのです。職場とはいえ、まあ母校みたいなものですねえ。
　研修は、障碍者のスポーツ促進に関する活動報告と、ジェンダーに関する討議など。関心のある分科会から選んだもの。ＬＧＢＴのことなんか、現任校では会議の話題にも出んけれど、統計上、存在しないというのは考えにくいので、きっと隠している生徒はいてるに違いない。そやけど、それをカミングアウトできる雰囲気づくりなどはとてもでけてへん。問題になってへんから校内でとりあげんでええというものやない。表面に出てへんということが厄介なんやという（いじめの原因になる、など）認識を教員に持ってもらうにはどうすればええのか。いろいろと宿題を持って帰ったような気分であります。
　職員室で旧知のもと同僚たちと歓談してたら、勤務時間を大幅にまわっていた。でも帰宅したのは６時過ぎ。いつもなら、早くて天六あたりにいてる頃か。便利な学校やったなあ。
　ほら、それだけで里心がついてもた。やっぱりなあ。

重度障碍者殺傷事件

　相模原の重度障碍者殺傷事件について、いろいろな思いが渦巻き、今も考えがまとまらない。各紙の論説委員の紋切り型の社説を読んでいると、重度障碍者に対する薄っぺらな認識に反吐が出そうになる。
　新任からわずか９年間とはいえ、養護学校では毎日障碍児ばかりと接してきた。前任校では３年間、知的障碍のある生徒の自立支援コース担当もやった。担当者としてＮＨＫの「きらっと生きる」という番組で自分なりの思いを語ったこともある。
　犯人の男性は、なんで無抵抗な障碍者に対し刃物を向けたのか。１９人も殺したのはなんでか。
　憎悪。
　おそらく、いや、それ以外には考えられん。ほな、なんでそんな憎悪を抱くようになったのか。重度障碍者の介護は重労働である上に、金銭的には報われん。自力で何もでけんくせに、こいつらは人に助けてもろうて感謝もでけんのか。こいつらには生かされるという特権が与えられている。それに比べて俺は……。
　そんな風に思うたんやろうか。彼らかって、そんな風に産まれることを望んだわけやないということが、犯人にはわからなんだんやろうか。
　自力で動くことのできない障碍者たちが、刃物を突き付けられて本能的に恐怖を感じたかどうかは、誰にもわからん。
　私は、いたましいなどと軽々しく口にしたくない。この犯人の異常な思考や行動も、障碍者たちの抱いた感情も、私には理解でけんから。無抵抗な者を刺すことによって、犯人は何を感じたのか。優越感か、罪悪感か。彼もまた社会的弱者やったんやろう。
　とりとめのない書き方になったけれど、たとえば現代社会のひずみについて思いを至らせてみたり、なんとも思考がまとまらん。
　殺された方たちに対して、哀悼の意を表することしか、私にはでけんのである。

泡沫さんたちの逆襲

　奨学金の書類未提出の生徒全員と連絡が取れ、育英会に直接提出してもらうように段取りをした。これで夏休み前にやるべき奨学金の仕事は一段落。あとは書類整理など忙しくてでけなんだのをやるくらい。ああしんどかった。
　今朝のスポーツ紙を読むと、東京都知事選でほとんど選挙活動や公約を報道されん泡沫さんたちが一堂に会して主張をしたという。
　ええことやないか。中には元国会議員で一時は政争の真っただ中で活躍した人もいてるし、記者クラブ制度に反対をし続けている気骨のジャーナリストもいてる。こういう人たちが、国政政党の支援を受けてへんというだけで無視されるのは、私も不当やと思う。何度も書くけれど、私は泡沫さんたちの味方です。それが例えヘイトスピーチのもと親玉やったとしても、無視すべきやないと思うている。
　東京都知事に誰がなろうと私にはどうでもええことやけれど、国政の政争の代理選挙みたいなので候補になるような人よりも、たとえけったいな方向を向いていても供託金没収にめげずに立候補する人たちに一度でええから当選してほしいと、これはもう真剣に思うている。
　小池にも増田にも鳥越にも負けるな他の候補たち！

花火か炎上か

　愛すれどTigers「鳥谷がついにスタメン落ち」を更新しました。

　今日は奨学金書類提出のデッドライン。それでも全員そろわず、育英会に事情を話して数名は遅らせてもらう。間に合うた分だけ郵送。ああしんど。
　むろんただ待っているだけが仕事やない。夏休み明けに行う授業のために、フィールドワークに行く予定の役所にご協力依頼の連絡をしたり、プリント作成に着手したり。蒸し暑いぼっち教諭部屋で休みを適当に入れながら粛々と仕事を進める。８月になったら思い切り休みをとったる予定やから、今のうちに一定のラインまで仕事を進めておかんとね。
　今日は天神祭。天六のホームはいつも以上にごった返している。駅員さんが「帰りの切符を今のうちにお買い求めください」とメガホンを使うて言うてはる。前任校の時はもっと早い時間帯に帰れていたんで、人混みにかち合うことはそうはなかったんやなあ。
　夜はベランダから花火見物。恒例の９時前のやけくそ打ちは例年より少し早目かな。花火と花火の間もやや短めやったみたいな気がする。雨の予報やったから、降らんうちにとにかく全部打ちあげてしもうたろう、というような感じかな。
　ガラケーのカメラで撮影して見たけれど、建物が炎上しているようにしか見えん画像しか撮られなんだ。ちゃんとしたデジカメを使うべきでしたなあ。持ってへんのね、実は。
　それはそれで面白い写真やったけれど、写っている建物の角度とかから、我が家の場所が特定できそうなので、アップはしません。ＯＢＰ爆発なんてタイトルをつけたくなるような写真なんやけどねえ。

鳥谷スタメン落ち

　大相撲小言場所「名古屋場所をふりかえって～稀勢の里横綱逃し、日馬富士優勝～」 を更新しました。

　今日も完全休養日。
　昼食後、やはり午睡。明日は当然出勤なので、疲れはしっかり取っておかねば。
　夕刻から相撲、そして野球中継と昨日と同じ流れ。
　相撲は千秋楽。予想通り日馬富士が白鵬を下して自力で優勝を決めた。日馬富士、稀勢の里、貴ノ岩の三つ巴の優勝決定戦を見たかったけれど、そうなったとしても集中力の違いで日馬富士が優勝していたやろうなあ。場所全般に関しては上のリンクから「大相撲小言場所」をお読みください。
　野球はタイガースがやっとカープに勝って連敗ストップ。対カープ戦の連敗もストップ。それよりも鳥谷がスタメン落ちしたことの方が話題になるやろうなあ。試合終了の時の鳥谷のすっきりしたような笑顔が印象的。記録のために野球をしているわけでなく、連続フルイニング出場を続けながら不振でも試合に出続けてるのはさぞ苦しかったことと思う。特にショートというポジションは動きも激しく、内野の司令塔という役割も果たさねばならなんだから、よけいにしんどかったと思う。
　鳥谷に代わって先発出場した大和が最初の打席でいい当たりのヒットを放ち、ベンチで鳥谷を冷やかす選手と、にこやかな表情でそれを受け流す鳥谷の姿が印象的やった。連続試合出場の記録はまだ続いている。今日、代打でヒットを打っいるだけに、戦力としてはまだまだ欠かせへん。そちらの記録で衣笠さんを追いかけてほしいものです。

カープ黒田２００勝

　今日は一日完全休養。昼食後、午睡したら一瞬のうちに夕刻。爆睡というのはこういうことをいうのですね。どんだけ疲れていたんやら。
　起きてから相撲と野球の中継を見る。相撲は日馬富士の優勝が濃厚。稀勢の里の横綱昇進は一からということになりそうな。場所前に高まっていた機運はすっかりしぼんでしもうた。
　野球はカープの黒田投手がタイガースを７回無失点に抑え、カープ打線もタイガースの岩崎投手を打ちこんで、カープの圧勝。黒田投手は日米通算２００勝を達成。
　おめでとうございます。
　たいしたもんです。米国メジャーでもドジャース、ヤンキースでローテーション入りし、まだあちらでも契約できたのに帰国してカープに復帰。日米どちらでも実績を残しての２００勝やからね。
　それにしてもマツダスタジアムの盛り上がりぶりは、テレビ画面を通じてもすごかった。タイガースの打者がアウトになるたびにいつも以上の大歓声。若い岩崎投手はこの雰囲気に呑まれてしもうたんと違うかな。
　タイガースはオールスター明けから５連敗。何をやってもうまく行くカープと好対照。黒田フィーバーで二日酔いしているカープを明日は叩いてくれることでしょう。でしょでしょ、金本さん。

あてどなく待つ

　今日は一日中仕事部屋で奨学金の書類を持ってくる生徒を待ち構えていたけれど、１００％回収はならず。デッドラインの月曜日に期待。それにしても大切なお金に関わる書類に対してこうも無頓着でいられるということに対して、未提出の生徒たちの将来が案じられるのでありました。
　あてどなく待つ（むろん他の仕事はしてるけれど）というのは精神的にきついものがあるねえ。生徒の保護者との電話対応とか、気を遣う仕事が断続的に入ってくるので、資料作成などの作業に集中でけへんしね。
　というわけで、へろへろになって帰宅。相撲を見ていたら、稀勢の里が日馬富士に完敗。これ、たとえ逆転優勝しても１２勝の優勝やと横綱はきついな。
　タイガースはカープ優勝へのアシスト役に徹しております。こうなったら明日は黒田投手の日米通算２００勝もアシストしてあげようや。カープファンは四半世紀も優勝の喜びから見放されてるんやから、今年は喜ばせてあげようよ。タイガースファンが喜ぶのは２～３年後でええからさ。一昨年は日本シリーズに出るのも見られたし、今年は若手に経験を積ませて、ということで。
　ポケモンＧＯ？　私、ガラケーなんで関係ないです。夏休みに入ってからでよかった。授業中にこっそりポケモンを探している生徒を探してはモグラたたきみたいに注意するというような面倒なことが……夏休み明けにはそれがあるのか！　ポケモン探してんと奨学金の書類をちゃんと出してね。