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島木譲二の死 [追悼]

 朝から寒かった。仕事がなかったら家にこもって冬眠したいくらい。お山の学校では風が強く、校内に植わっている木の枝がゆすぶられごうごうと音がする。そういう音を聞くと、よけいに寒さが厳しく感じられる。室内にいてストーブをつけているから寒さはましなはずやのに、神経なるものがそないに感じさせるんですな。
 夜、ネットニュースを読んでいたら、吉本新喜劇の島木譲二さんの訃報 に接する。死因は脳溢血。享年72。
 出てきはった頃は、ほんまに芝居もいま一つやし、「吉本の渡哲也です」というフレーズも特に面白うなかった。元プロボクサーやったという体力を生かし、体を張った「大阪名物パチパチパンチ」を編み出してから人気が出た。ただ、上半身裸で胸を両腕で叩くだけのもので、単体ではさして笑いにつながるようなもんやなかったと思うたけれど、アルミの灰皿で頭を叩く「ポコポコヘッド」から、石油缶の角で頭を叩く「カンカンヘッド」まで行って、「これはほんまに痛いんじゃ」というところまでしたときに、ようやらはるなあと感心した記憶がある。
 私はそれよりも強面から一転して「ひどい、ひどいわ」といじけたり、かわいらしく「ごめりんこ」とあやまったり、「しまったしまった島倉千代子」みたいなあまりにもあほらしい言葉遊びみたいな小ネタがよかったと思う。見た目とのギャップを強調するという自分のキャラクターを生かすことで、吉本新喜劇の中でのポジションが決まっていったんやないかなあ。
 かなり前、台湾製のドラマ「山田太郎ものがたり」を見ていたらいきなりゲスト出演してはってびっくりした。台湾のドラマやからみんな中国語をしゃべっているのに、島木さんだけ大阪弁。それでなぜか会話できているのがなんともおかしかった。見たらわかるという芸風は海外の人にはわかりやすくてよかったんかな。役名は「大熊」やったかな。ここらあたりうろ覚えですが。
 リドリー・スコット監督「ブラックレイン」にも出演していて、一時は「ハリウッドスター」とギャグに使うていた。
 強烈なキャラクターで登場し、体を張って目立ち、ついには自分のポジションをつかんだという、まさに努力の人やったんやろうなあ。ただ、歳をとって体がしぼんできて、それでも「パチパチパンチ」をやったりしてはったのはちょっと痛々しかったけれど。
 謹んで哀悼の意を表します。

 12月18日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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