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今いくよ、暁照雄の死 [追悼]

 芸人さんの訃報が2つも。
 昨日の朝は 今いくよさんの訃報 に驚く。享年67。癌から舞台復帰したというニュースをスポーツ紙で目にしていたので、まさかと思うたのですね。
 もう40年前になるかな。NHKラジオの「上方演芸会」でWヤングの漫才を録音した時に、前座というような扱いで「今いくよ・くるよ」の漫才を初めて聞いた。おもろくなかったわけやなかったけれど、大笑いというまではいかなんだ。これは二人の容姿がネタに密接にからんでいるからで、ラジオではいくらくるよさんが腹を叩いてええ音を出しても、その面白さはわからんのでありました。
 で数年後に漫才ブームが起こり、テレビ「花王名人劇場」でいくよ・くるよのネタを見た。ラジオで聞いたのと同じネタ。というか、このコンビはそんなに持ちネタが豊富な方ではなかったのでした。毎度おなじみのギャグを細かに入れて、それで笑いを取るという、いかにも寄席の芸人さんやったのですね。で、ここでブレイクした。その数年後、今は亡き「京都花月」で実際の舞台を見た。ネタはほとんど変わらなんだのに、乗りに乗っていて大爆笑。自信は人間を大きくする。芸もまたしかり。同じネタでも、テンポ、間、勢いが違うとこうも違うかといういい実例を見せてもろうた。

 夕刻には暁照雄さんの訃報 に接する。享年78。
 こちらはもう私が物心ついて漫才の番組を見出した頃には「宮川左近ショウ」といえば角座の大看板やったのと違うかな。ただし、笑いは少なく、宮川左近師匠の浪曲を聞かせる、暁照夫(当時はこう書いたはず)師匠の三味線の妙技を聞かせる、そこに松島一夫さんのギターとつっこみが入る。これでパターンが完全にできあがっていた。
 ただ、子どもの頃の私には、照夫師匠が妙技を聞かせたあと「なんでこんなにうまいんやろ」と自己陶酔するのはただのシャレなんやというようにしうつってなかった。いろいろと芸を聞きこんでくると、照夫師匠の三味線のうまさが尋常やないということがなんとかわかるようになった。左近師匠の没後は弟子の暁光雄さんとコンビを組んでいたけれど、時折テレビで見たときには、光雄さんがものすごく緊張しているのが(それも、いつ見ても!)わかった。自分の芸に厳しく、人の芸にも厳しい方やったんやないかと、これは推測するしかない。
 こういう寄席芸はかなり少なくなっている。前任校で生徒に音楽ショウの漫才を見せると、「これって漫才ですか」と感想を書いてくる者もいた。お弟子さんたちはまだまだ舞台でがんばっている。今後は光雄さんがきばって音曲漫才の系譜を絶やさないようにしてほしいと心から願うばかり。
 ご両名に、謹んで哀悼の意を表します。

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