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加害者は貴ノ岩 [大相撲]

 朝、日刊スポーツの一面を見て驚いた。貴ノ岩が付け人の貴大将を「忘れ物をした」という理由でしばきあげたというやないですか。日馬富士にカラオケのリモコンでどつかれて手術までした被害者が、一転して加害者になった。他の力士ならともかく、これまで被害者ということで一連の騒動の中心に位置していたというのに。ただの被害者やない。その事件がきっかけで横綱日馬富士が引退、大関照ノ富士は膝の怪我を悪化させて以後は坂道を転げ落ちるように番付を下げ、警察に告発したことで協会ともめた師匠の貴乃花親方は貴ノ岩を守るように退職し、部屋の力士は千賀ノ浦部屋に移籍……。
 前の師匠である貴乃花親方はどんな気持ちでこのニュースを聞いたやろう。弟弟子の貴公俊も付け人に暴力をふるい謹慎した。貴ノ岩はこれらの一連の騒動から何も学ばなんだということやね。これでなんとか落ち着いてきた角界がまたぞろ叩かれることになるのかな。
 田中啓文「力士探偵シャーロック山」(実業之日本社文庫)読了。こういう日に相撲を題材にした小説を読了というのも偶然とはいえおもしろい。
 三役力士斜麓山は相撲よりもミステリ好き。ついに実際の事件に首を突っ込んでといてしまう。相棒は付け人の輪斗山。稽古もせずに徹夜でミステリを読む斜麓山と稽古をさせたい銅煎(どういる)親方との間に入り苦労する。
 ミステリも大相撲もだじゃれも好きな田中さんらしい小説。むりやり「力士探偵」などというハードルを課して、それをクリアするというなんというのかあんた何してまんねんというような試みであります。無理してる部分がないとは言えんけれど、一定のレベルを保っているのはたいしたものです。とはいえ、果たしてこのような設定の小説が売れるんやろうかという心配をしてしまう。田中啓文ファンならともかく、たまたま書店で本書を手に取ったというような人はどう思うのか、心配になってくる。ミステリも相撲も好きな方にはお薦め。難を言えば、ここまで相撲界のことをきちっと描いているのに、床山が一切登場しないのは不自然である。田中さんが出し忘れたのか、ややこしくなるからわざと出さなんだのか。そこが相撲ファンの私には気になってしもうたところですね。

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