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カササギ殺人事件 [読書全般]

 今日はお山の学校もぐっと冷えこむ。ストーブのそばからなかなか離れられん。お仕事もマイペースというかスローペース。思うていたことの何割かしかでけなんだ。とりあえず新年最初の出勤日にあわてんですむようにはできたけれど。ほんまはちょっとばかりお掃除をなんて思うてたんやけどなあ。ひとり部屋やとつい無精になってしまうたちなもので。どなたか相棒がいてたらとっちらかったりせんのやろうけれど。
 資料として置いていた本を何冊か持ち帰る。私物も少しずつ減らしていかんと。転勤や校内の仕事変更などでいつ仕事部屋から出んといかんかわからんものね。こちらもぼちぼちと進めていく予定。
 アンソニー・ホロヴィッツ/山田蘭・訳「カササギ殺人事件 上・下」(創元推理文庫)読了。ミステリの今年のベスト投票でたいてい上位に入っている。出た時すぐに買うたんやけれど、「ゲド戦記」を読んでからと思うてたらずいぶん読むのが遅れてしもうた。まあ私はミステリの専門家やないから別にええけれど。
 作者は「絹の家」「モリアーティ」などシャーロック・ホームズのパスティーシュでコナン・ドイル財団公認を得たことでも知られる。どちらも読んで、この日記でちょっと感想を書いたこともあるけれど、達者ではあるが北原尚彦さんほど愛情に満ちた感じがしなかったという印象が残っている。
 ホームズものから離れたらどうなるのか。そこらあたりに注目して読んだ。解説などを読むとアガサ・クリスティへのオマージュ、なんやそうですが、たしかに作中作は田舎町の人間関係を軸に複数の容疑者をそれらしくちりばめるという点ではクリスティっぽいし、名探偵のもったいぶったところもポワロを思わせたりするけれど、ホームズもの同様形をなぞっているという印象をぬぐいきることはでけなんだなあ。できがわるいわけではない。クリスティへのオマージュとかいうレッテルをつけなんだら、非常に達者であるとは思う。で、作中作の完結部分を探すうちに作者の自殺に疑問を抱いた編集者が探偵となる後半はというと、これが作中作ともっと有機的につながっていればずっと面白かったのになあ、という感じ。種明かしはでけへんのでこれ以上は書かんけれど、帯の惹句も解説もほめすぎです。ホームズものの時と同様「愛」を感じないというたらわかっていただけるか。
 ミステリとしての水準は高いけれど、古典的な名作と肩を並べるかというと、そうは思わんのですねえ。なまじドイルやクリスティっぽくしようとしているから物足りなく感じてしまうんやないかと思うた次第。どうせならこんな入れ子状態にせず、作中作だけ独立して出した方がよかったんやないかなあ。

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