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サイコセラピスト [読書全般]

 お山の学校の近辺は下界よりも風が強く、寒い。明日からはマフラーを巻いて出勤しよう。仕事部屋も底冷えし、もうストーブは必須。今年もそういう季節になってきたのですね。
 授業のほかには、生徒指導がらみでほかの部署の先生といろいろと情報交換。週明けには生徒にお説教をせねばならんことになった。まあいろいろと仕事は入ってまいります。定時に退散。
 帰宅後は録画した相撲中継を見る。栃ノ心と若隆景が今日から休場。栃ノ心の大関復帰はならずということになった。高安は左が使えず連敗。御嶽海は一昨日の相撲でまぶたを切り、傷口が痛むのか思い切って立ち合いに当たることができず連敗。白鵬独走ということになるのかな。とはいえ白鵬も昔の彼ならず。炎鵬が初優勝なんてことになったら面白いんやけれど、無理かな。
 アレックス・マイクリーディーズ/坂本あおい・訳「サイコセラピスト」(早川ポケットミステリ)読了。夫を殺害したと思われる女性は心神喪失状態になり、精神病院に入院。彼女に興味を持っていた心理療法士がその病院に移り、志願して担当となる。一切口をきかなくなった彼女から、事件の真相を引き出すことができるのか。心理療法士はまるで探偵のように関係者に聞きこみを始めるが……。登場人物すべてが過去になにかしら精神的な傷を負っていて、それは主人公である心理療法士も例外やない。彼の場合は虐待。自分が心理療法士になることでそれを克服しようとし、愛する妻もできた。まず気になるのは彼が殺人容疑者の女性に何でここまで執着するのかというところ。容疑者と良好な関係を結んだかと思うと、その度にアクシデントが起こり、治療は何度も振り出しに戻る。それでも執念で真相にたどり着くわけやけれど、そこまでの過程が巧みに描かれていて、ぐいぐいと読まされる。いわゆる意外な結末が待っているけれど、謎解きが主眼やないから、パズラーのつもりで読んでたら、いささかアンフェアに感じさせる部分があったりして怒るやろうから、サスペンス小説というつもりで読んだ方がええぞ。とにかく出てくる人物はみんな病んでいるか何かに依存している。そやからと言うて人間の暗部をえぐりだしたりはしないのですね。そこは作者はあくまでミステリとして進めていき、読者をぐいぐいと引っ張っていく。作者は映画の脚本家出身で、小説はこれがデビュー作やそうです。確かに映画的ではあるなあ。実際映画化権の引き合いが多く、作者自身の脚本で映画化されるらしいです。次から次へと新事実が発見され、その度に事件の様相が変わっていく。そやから一気に読み進めたくなる。それだけの力を持ったミステリですね。たぶんここに出てくる病んだ人たちの様子は現代アメリカの縮図なのかもしれんなあ。そういう点でも実に興味深い一冊です。

 11月17日(日)は、「たちよみの会」例会です。多数のご参加をお待ちしています。

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