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炎の色 [読書全般]

 やっと週末。昨夜は鼻の調子はまずまず。そやけど鼻炎薬が効いたせいか夜中にはばかりに行きたくなって起きたりしたせいで睡眠不足。仕事中も体が重く、超低速モードでありました。定時で退出。
 帰宅後、録画した相撲中継を見る。正代が勝ったので、今日の白鵬の優勝はなし。白鵬は阿炎をあっさり下して1敗を守る。明日はついに7敗と後がなくなった御嶽海戦。御嶽海が崖っぷちでどれだけ力を出すか、ですね。幕下ではもと大関の照ノ富士が強引な相撲ながら對馬洋を下して全勝優勝し、来場所の十両復帰を確定させた。優勝力士インタビューでは笑顔はなし。まだまだ十両復帰くらいでは喜んでいられんということか。横綱土俵入りを見ながら「もう一度あの人ととりたい」と言うてたそうやから、もう一度白鵬に勝つまでは笑顔は封印ということなのかな。
 ピエール・ルメートル/平岡敦・訳「炎の色 上・下」(ハヤカワミステリ文庫)読了。昨年発売された時すぐに買うてたんやけれど、なんやかんやで読みそびれていて、やっと手に取れた。「天国でまた会おう」(ハヤカワミステリ文庫)の続編ということになっているけれど、直接の続きやなく、脇役で登場した人物を主人公にした別の物語。第二次世界大戦を目前にしたパリを舞台に、銀行家の娘が相続した遺産を信頼していた銀行職員や国会議員の叔父の陰謀ですっかり奪われてしまう。愛息は父の葬儀の場で建物から飛び降りで半身不随となる。一文無しになった彼女はもと夫の友人だった錠前の職工長やポーランド人の看護師とともに復讐を始める、という話。復讐譚、好きですね。作者の謝辞の中に大デュマの名前があるように、「モンテ・クリスト伯」を意識していることは間違いない。ただし、この物語の主人公は一文無しとなった状態から復讐を始めるわけで、それまでのお嬢様然とした人格をかなぐり捨てるあたりが見もの。それと並行して肢体不自由となった息子の成長物語も描かれ、高名なオペラ歌手やナチスドイツの状況なども描かれ、歴史的背景を非常にうまく活用している。むろん「その女アレックス」の作者のことなんで、復讐劇というてもすかっと気持ちよくフィニッシュを決めるわけやない。そのあたりの苦みがまたよう効いている。一応ミステリ文庫から出ているけれど謎解きを楽しむようなものではなく、いかに主人公が復讐を成功させるかというところがテーマになっていて、そのあたりの駆け引きを楽しむ小説であります。前作よりもぐっと面白くなっているし、前作を読んでなくてもなんら支障はないので、復讐譚がお好きな方にお薦めであります。

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