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叱られ愛され大相撲 [読書全般]

 いろいろと気がかりなことを抱えて出勤。それでも授業で生徒たちにそんなところは見せられぬ。意識してテンションをあげていたら、「先生、元気やなあ」と声がかかる。通常営業時よりも過剰に元気さをアピールし過ぎたか。カラ元気であることを本能的に見抜かれたんかもしれん。そこらあたり、生徒たちはやはりこちらをよう見ておるよ。あらためて、見られる商売であるということを実感する。空き時間は事務作業を行い、午後の授業ではテンションを抑え目にしたら、今度は生徒がいくぶんだらけてしまう。さじ加減が難しいなあ。
 放課後は会議。定時に退散。
 帰宅して妻と録画してまだ見てなかった番組を何本か見る。相撲がないとさくさく進むね。
 一段落ついて一服つけていたら、実家より連絡。今週は休みを取らずともよいそうな。週末に日帰り帰省するか。どうも落ち着かんなあ。お山の学校の不便さを思い知る。明日もこんな気分で仕事をせんならんのかと思うときついねえ。
 胎中千鶴「叱られ、愛され、大相撲!」(講談社選書メチエ)読了。著者は台湾の近現代史を専門とする歴史学者。相撲好きが高じて、戦時中の相撲の台湾巡業から説き起こして、「国技」としての相撲と「興行」としての相撲の両立など、戦前戦後の相撲界が抱えていた諸問題を明らかにしていく。相撲が「国技」として定着していった最大の功績者は昭和天皇であるということへの考察や、外地巡業で相撲団体が得たものと失ったもの、「相撲体操」を考案してスポーツとしての相撲を確立しようとした教師、相撲界の旧弊を改めようと協会を脱退した天龍と、相撲界の中にいて改革を進めようとした笠置山、自費で学童相撲の普及を志した阿久津川といった面々に光を当て、これまであまりとりあげられなかった相撲の側面史をたどる。
 学術書であるけれど、第一次資料をふんだんに使い、当時の様子を活写していて面白く読めた。相撲協会の閉鎖的な体質はこの時期から変わらないんやなあと残念に思いつつも、「国技」と「興行」の間で揺れ動くこの不思議な競技をこれまでにない観点から説いた好著。相撲の専門誌に執筆するライターではないからこそ書き得たということやろうね。ただし、コアな相撲ファン以外にはあまりお薦めでけんかもしれん。まず協会側からみた歴史をきっちりと知った上でないとわからん部分が多いからね。

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