SSブログ

後藤次男の死 [追悼]

 元阪神タイガース監督の後藤次男さんの訃報 に接する。享年92。死因は老衰。
 昨年もユニフォームを着て始球式に出てはったから、またサンテレビの解説席にゲスト出演しはる日が来ると楽しみにしていたのに。
 私は京都在住やったんで、子どもの頃はKBS京都(当時は近畿放送)でサンテレビのナイター中継を見ていた。解説席には必ず後藤さんの姿があった。後藤さんしか解説者がいてへんかったのですね。
 しばらくして鎌田実さんが解説者に加わり、後藤さんが1978年に監督に担ぎ出された時には鎌田さんだけの解説になったけれど、最下位の責任を取って1年で解説者に復帰。熊本弁で「そうですねえ~」とゆったりしゃべる解説には味があった。
 そういえば「クマさんのトラ情報」なんてコーナーもあったなあ。特に新鮮な情報などなかったので、子ども心に「どこが“情報”やねん」とつっこんでいたものでした。
 現役時代は強打の外野手。ただし、戦後すぐの入団で選手も少なく、アマチュア時代に守ったこともある捕手までやったそうな。
 近藤唯之さんの「阪神サムライ物語」に掲載されていた愉快なエピソードをひとつ。まだタイガースに入団する前、オール法政という法大のOBチームで若林忠志さんとバッテリーを組んだ。若林さんが打たれると「サインが盗まれているみたいです」と後藤さんが言う。まともなアンダーシャツがなかった時代、しかもグー、チョキ、パーなど簡単なサインしかなかったので、腕の筋肉の動きで見破られているらしいと感づいたそうだ。そこで後藤さんは「サインを顔で出しますわ」と提案したそうな。口を閉じたらストレート、歯を見せたらカーブ、てな具合。マスク越しにいちいち歯を出したりひっこめたりする後藤さんを見て、若林さんは自分がタイガースに復帰したらこのユニークな発想をする男を引っ張ってやろうと思ったという。
 選手、コーチ、監督、そして解説者としてタイガース一筋やった「仏のクマさん」。暖かい解説でかけだしファンにわかりやすく野球を教えてくれた。ほんまにありがとうございます。
 謹んで哀悼の意を表します。

nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:スポーツ