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黒染めの是非 [教育]

 大阪府立の某高校が、もともと髪の色の薄い生徒に黒く染めるように指導したことがもとでどえらいことになってる。生徒の髪はぼろぼろになり、精神的にも打撃を受け、不登校状態になったということで訴訟沙汰になっている。
 同じ府立高校に勤務するものとしては、他の学校といえ立場的にはコメントは控えたいところではあるけれど、人権教育担当としては、やはりこれは人権侵害やと思うている。
 私の勤務校でも前任校でも頭髪指導というのはやっていて、茶髪に染めた生徒に対して黒染めをするように指示したりしている。それはそれで理由あってのことなんで、その指導に対して疑義を呈したことはない。ただ、私個人としては茶髪でもええやんとは思う。また、一度染めた上からさらに染め直させるのもどうかと思う。黒く染めたのが色落ちし、またさらに繰り返して染めさせていると、髪が傷んでなんぼ染め直しても色が定着しなくなるのですね。
 そやから、一度染めた髪に対しては、二度と染めんように指導するだけでええと考えている。毛髪というものはのびるものです。黒髪を茶髪に染めても、そのうち根元はもとの黒髪になってくる。ほどよく伸びたところでカットしていったら、もとの髪の色に戻る。
 汚い、みっともないとその生徒は文句をいうかもしれんけれど、それは校則を破った自分に責任があるんやから、自業自得。それよりも、なんで髪を染める気になったのか、その理由をゆっくりと解き明かしていくことが大事やと思うている。髪を染めるということは、何らかに対する鎧みたいなもんです。それなら、なんでそんな鎧が必要になったかという原因を探っていき、そちらを解決することによってそれ以上髪を染める必要を感じさせんようにすべきやないかというのが、私の考え。
 生徒指導畑の教師はそんなまだるっこしいことはしてられんやろうから手っ取り早く黒く染めさせるんやろうけれど、私には安直な方法でしかないように見える。ただ、その鎧を外させる手間というのは、ものすごく時間と労力を必要とするし、難しいことではある。
 ただ、やはり染めてもいない髪をむりやり染めさせるなんていうのは多様性の否定につながり、個人として生徒を尊重するという基本的人権の考え方に反することで、すべきやない。今はハーフやクォーターの生徒も増えており、明らかに顔の色の黒い生徒は以前よりも増えている。頭髪の黒染めの理屈からいうたら、肌の黒い生徒は白くメイクをして来いと言わんならん。それが人種差別につながることは明白やね。
 まあ、よその学校の方針に口出しする気はないし、そんな立場にもないからこれくらいにしておくけれど、今回の騒動は、「教育の本義とは何か」を教師全員に問いかけるくらいのものやないかなあと思う次第。

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